211号 2024/04

ケアマネジャーに関連する2024年6月診療報酬改定

 2024年は6年に1回となる診療報酬・介護報酬同時改定となる。今回の特徴としてあげられるのは、診療報酬改定が6月に後ろ倒しされたことだ。介護報酬改定でも医療系訪問看護、訪問リハビリテ-ション、通所リハビリテ-ション、居宅療養管理指導も6月実施となった。次期介護報酬改定も6月実施となる可能性が高い。

今回は、2024年6月診療報酬改定で介護支援専門員に関連する項目を概説したい。

2024年6月の診療報酬改定では初診料3点、再診料2点の引上げや、入院基本料については急性期、回復期、慢性期とも1日当たりの点数引上げがあった。この引上げ分は、医療機関の事務職員の処遇改善に活用する。また、介護職員処遇改善加算のごとく、診療報酬でベースアップ評価料が新設されたものの、評価料新設の原資として外来の処方箋料や特定疾患療養管理料などの見直しにより「実質マイナス改定」となる。

外来では地域包括診療加算の算定要件にサービス担当者会議の参加実績等が追加――院内掲示も要件に

地域包括診療加算とは施設基準の届出を行った内科系診療所が算定できる点数だ。対象患者は、高血圧症、脂質異常症、糖尿病、認知症、慢性心不全、慢性腎臓病のうち2つ以上の疾患を有する外来患者である。再診料の加算であり、在宅医療の実績などにより1回28点と21点の2区分で評価。改定前より3点増点となった。

今回の診療報酬改定では算定要件として「医療機関に通院する患者について、介護支援専門員及び相談支援専門員からの相談に適切に対応するとともに、対応が可能であることを医療機関の見やすい場所に掲示すること」が追加された。

加えて施設基準では(1)担当医が、サービス担当者会議に参加した実績がある。(2)担当医が、地域ケア会議に出席した実績がある。(3)医療機関において、介護支援専門員と対面あるいはICT等を用いた相談の機会を設けていること。なお、対面で相談できる体制を構築していることが望ましい、ことが追加されている。施設基準の要件は(1)~(3)のうち1つを満たすことが必要となっている。なかでも(3)は電話等による相談体制を構築している場合も該当する。すなわちケアマネタイムを設定していることが該当することになった。いわば「かかりつけ医と介護支援専門員との連携強化」を診療報酬で評価したことになる。

入院では入院時支援加算1と連携機関数の厳格化――算定対象患者は要支援認定も追加

入院では、入院前からの支援をより充実・推進する観点から、入院時支援加算1が10点引上げられた。施設基準の要件では、急性期病院では病院・診療所との連携を評価することから、連携機関の数のうち1以上は医療機関であるとした。また、地域包括ケア病棟入院料を算定する病棟又は病室を有する場合は、連携機関の数のうち5以上は居宅サービス事業者、地域密着型サービス事業者、居宅介護支援事業者若しくは施設サービス事業者であることと要件が厳格化された。なお、連携医療機関数等は25以上とされており、上限数に変更はない。

さらに算定対象者としてこれまでの「要介護認定未申請患者」に「要支援認定未申請患者」が追加されている。

加えて退院時の医療機関から介護支援専門員へ情報提供する様式が見直しされた。具体的には「退院後のサービスの必要性」や「人生の最終段階における医療・ケアに関する状況」が該当する場合が追加されている。「人生の最終段階における医療・ケアに関する状況」は、介護保険の医師による居宅療養管理指導の介護支援専門員向け様式の変更も同様だ。その他、退院支援計画の内容に、リハビリテーション・栄養管理・口腔管理等を含む退院に向けた入院中に行う療養支援の内容を盛り込むことも明記されている。

在宅医療では在宅時医学総合管理料の引下げ――訪問看護ステーションの適正化も

今回の診療報酬改定では処方箋料が8点引き下げられた。これに関連して1月に1回もしくは2回以上訪問診療を実施した場合算定可能な在宅時医学総合管理料も、15点引き下げられている。サービス付高齢者住宅や有料老人ホーム入所者向けの施設入居時等医学総合管理料も20人以上の点数が新たに設定され、300点以上のマイナス改定となった。診療報酬も介護報酬と同様に「同一建物入所者」の適正化が進められたことになる。

在宅時医学総合管理料等には「包括的支援加算」150点が評価されている。ただし対象患者が要介護2から要介護3に引上げ、認知度ⅡbからⅢ以上に引上げられ、適正化が進んだ。また1人あたりの訪問回数が3月で12回以上(末期がん患者などを除く)となった場合、1月で5回目以降の訪問診療料を半減する逓減制も新設されている。

在宅療養支援診療所及び在宅療養支援病院の施設基準の要件が見直され、訪問栄養食事指導(医療保険・介護保険)を実施する体制が新設された。診療所は体制整備が「望ましい」、病院では指導を行う体制の整備が1年間の経過措置付で新設されている。

訪問看護ステーションの適正化もある。1月2回目以降の訪問看護療養費を500円減額する取り扱いが新設。同一建物居住者が70%以上となった場合や70%未満でも1月に末期がんや難病患者などが4名以下の場合も減額該当となり厳しい適正化改定と言える。

(顧問 宮坂 佳紀)


効果的な学びについて

令和6年度の法定研修がスタートする。カリキュラムの変更だ、適切なケアマネジメント手法だ、ワーキング委員の変更だ、ナドナドなんだか大変さがヒシヒシと迫ってくるのだが、今回は社会人の効率的な学びについて、「一生頭がよくなり続ける すごい脳の使い方 」加藤俊徳著を読んだのでご紹介したい。

この本によれば、人間の脳は40代〜50代でピークを迎える。たしかケアマネジャーの平均年齢が53歳だったと思うので、我らは脳を最大限に活用できるということになる。ちなみに、私、人の名前が覚えられなくなって久しい。「もう年だわ〜」と諦めながらも、記憶力の低下を素直に認めてきたのだが、意味のないデータや記号を覚える力は20代〜30代がピーク。この頃の若い脳は、意味を理解した上で覚える能力はまだ未発達なのだそうだ。そして、脳には、思考系・判断系・記憶系・伝達系・運動系・感情系・視覚系・聴覚系の8つの領域があり、思考系・判断系・記憶系が会社でいうところの三役になる。人間の脳は、生存のため、情報の大半を海馬が長期記憶に入れずに廃棄する。ここに感情が伴うと長期記憶に入りやすい。若い脳、と言われる年代ではない人々が得意なのは、思考し、判断し、記憶していく脳の使い方だということである。そして、学習するときには苦行のように学ぶのではなく、楽しいこと、面白いこと、それ知ってる!と思うことから取り掛かり、感情を動かすとより効率的である。この本では、頭の神経伝達回路を高速道路、一般道路、獣道で説明しており、普段からよく使い、高速回転している頭の回路は高速道路だが、使い続けるとやがて荒れてしまう。一般道路も時々使わないと獣道と化して、いざという時に使えない。では、どうすれば良いかというと、違和感を感じることをあえてやるそうだ。例えば、利き手と逆の手で歯磨きをするなど、簡単な、体が感じる違和感をあえて使う。参考にしてみたい。ちなみにこの文章は、記憶に頼って書いた。本を読んだときに感動して、とても面白かったから定着して皆さんにお伝えできるということだ。自分にまだ伸び代がある、と思えるのはとても気分が良いものだ。

(常任理事 佐藤 弓子)

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