210号 2024/03

2024年度介護報酬改定動向(5)――居宅介護支援事業所の人員及び運営基準などの見直し内容など
3月15日、厚生労働省は、2024年度介護報酬改定を官報告示し、介護サービスの新しい単位数や加算などを公表した。医療系サービスである訪問看護、訪問リハビリテ-ション、通所リハビリテ-ション、居宅療養管理指導の4サービスは6月から、それ以外は4月から施行される。
厚生労働省はホームページ(HP)上で、2024年度介護報酬改定の専用サイトも設けた。算定に関する留意事項通知や、基準省令に関するmm210解釈通知などや質疑応答その1などを載せている。詳細はHPを参照(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_38790.html)していただきたい。
居宅介護支援などの事業の人員及び運営に関する基準見直し項目――(運営基準の集中率の説明など
居宅介護支援などの事業の人員及び運営に関する基準では以下の項目が追加、見直しされている。

(1)介護支援専門員の員数(受け持ち利用者35人から44人または49人に改定)
当該常勤の介護支援専門員の配置は利用者の数(当該指定居宅介護支援事業者が介護予防支援の指定を併せて受け、又は地域包括支援センターの設置者である指定介護予防支援事業者から委託を受けて、当該指定居宅介護支援事業所において指定介護予防支援を行う場合にあっては、当該事業所における指定居宅介護支援の利用者の数に当該事業所における指定介護予防支援の利用者の数に3分の1を乗じた数を加えた数。以下この(1)において同じ。)44人(当該指定居宅介護支援事業所においてケアプランデータ連携システムを活用し、かつ、事務職員を配置している場合は49 人)に対して 1 人を基準とするものであり、利用者の数が44人(当該指定居宅介護支援事業所においてケアプランデータ連携システムを活用し、かつ、事務職員を配置している場合は49人)又はその端数を増すごとに増員するものとする。ただし、当該増員に係る介護支援専門員については非常勤とすることを妨げるものではない。なお、地域における介護支援専門員や居宅介護支援事業所の充足状況等も踏まえ、緊急的に利用者を受け入れなければならない等のやむを得ない理由により利用者の数が当該基準を超えてしまった場合においては、直ちに運営基準違反とすることのないよう留意されたい。
また、当該非常勤の介護支援専門員に係る他の業務との兼務については、介護保険施設に置かれた常勤専従の介護支援専門員との兼務を除き、差し支えないものであり、当該他の業務とは必ずしも指定居宅サービス事業の業務を指すものではない。
なお、事務職員の配置については、その勤務形態は常勤の者でなくても差し支えない。また、当該事業所内の配置に限らず、同一法人内の配置でも認められる。勤務時間数については特段の定めを設けていないが、当該事業所における業務の実情を踏まえ、適切な数の人員を配置する必要がある。
ここでいう「ケアプランデータ連携システムの活用」と解釈として厚労省は留意事項のなかで「公益社団法人国民健康保険中央会が運用及び管理を行う指定居宅介護支援事業者及び指定居宅サービス事業者等の使用に係る電子計算機と接続された居宅サービス計画の情報の共有等のための情報処理システム」は、いわゆる「ケアプランデータ連携システム」を指しており、ケアプランデータ連携システムの利用申請をし、クライアントソフトをインストールしている場合に当該要件を満たしていることとなり、当該システムによる他の居宅サービス事業者とのデータ連携の実績は問わないと、説明している。
(2)管理者の兼務と主任介護支援専門員が長期休暇などで不在の場合の取り扱いなど
管理者が例えば、訪問系サービスの事業所において訪問サービスそのものに従事する従業者と兼務する場合の取り扱いについては、当該訪問系サービス事業所における勤務時間が極めて限られている場合を除き事故発生時や災害発生等の緊急時において管理者自身が速やかに当該指定居宅介護支援事業所又は利用者の居宅に駆け付けることができない体制となっている場合は管理者の業務に支障があると考えられるとして兼務を認めないとした。
管理者である主任介護支援専門員が長期休暇などで不在の場合の取り扱い事例としては、以下のような、主任介護支援専門員の確保が著しく困難である等やむを得ない理由がある場合については、管理者を介護支援専門員とする取扱いを可能とするとした。

・本人の死亡、長期療養など健康上の問題の発生、急な退職や転居等不測の事態により、主任介護支援専門員を管理者とできなくなってしまった場合であって、主任介護支援専門員を管理者とできなくなった理由と、今後の管理者確保のための計画書を保険者に届け出た場合。
なお、この場合、管理者を主任介護支援専門員とする要件の適用を1年間猶予するとともに、当該地域に他に居宅介護支援事業所がない場合など、利用者保護の観点から特に必要と認められる場合には、保険者の判断により、この猶予期間を延長することができることとする。
・特別地域居宅介護支援加算又は中山間地域等における小規模事業所加算を取得できる場合。

管理者の責務としてワーク・ライフ・バランスの取れた働きやすい職場環境を醸成していくことが重要であることも以下のとおり新設されている。
〇指定居宅介護支援事業所の管理者は、介護保険法の基本理念を踏まえた利用者本位の指定居宅介護支援の提供を行うため、当該指定居宅介護支援事業所の介護支援専門員等の管理、利用申込みに係る調整、業務の実施状況の把握等を一元的に行うとともに、職員に指定基準の規定を遵守させるために必要な指揮命令を行う必要がある。また、管理者は、日頃から業務が適正に執行されているか把握するとともに、従業者の資質向上や健康管理等、ワーク・ライフ・バランスの取れた働きやすい職場環境を醸成していくことが重要である。
(3)運営基準の集中率の説明などについて(署名を得なければならないから望ましいに緩和)
 併せて、居宅サービス計画原案に位置付けた指定居宅サービス事業者等の選定理由の説明を求めることが可能であることにつき説明を行うとともに、理解が得られるよう、文書の交付に加えて口頭での説明を懇切丁寧に行うことや、それを理解したことについて利用申込者から署名を得ることが望ましい。
(4)身体拘束等の原則禁止や身体的拘束等を行う場合の記録について(新設)
 身体的拘束等の原則禁止や身体的拘束等を行う場合の記録を2年間保存する取り扱いが新設された。
当該利用者又は他の利用者等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束等を行ってはならず、緊急やむを得ない場合に身体的拘束等を行う場合にあっても、その態様及び時間、その際の利用者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由を記録しなければならないこととしたものである。また、緊急やむを得ない理由については、切迫性、非代替性及び一時性の3つの要件を満たすことについて、組織としてこれらの要件の確認等の手続きを極めて慎重に行うこととし、その具体的な内容について記録しておくことが必要である。なお、基準省令第29条第2項の規定に基づき、当該記録は、2年間保存しなければならない。
(5)テレビ電話でのモニタリングの実施(テレビ電話での留意点)
今回の改定によりテレビ電話でモニタリングの実施を行った場合、自宅への訪問回数が1月1回から2月1回に緩和された。この場合の留意点について以下の取り扱いとなっている。
介護支援専門員は、モニタリングに当たっては、居宅サービス計画の作成後においても、利用者及びその家族、主治の医師、指定居宅サービス事業者等との連絡を継続的に行うこととし、当該指定居宅サービス事業者等の担当者との連携により、モニタリングが行われている場合においても、特段の事情のない限り、少なくとも1月に1回は利用者と面接を行い、かつ、少なくとも1月に1回はモニタリングの結果を記録することが必要である。また、面接は、原則、利用者の居宅を訪問することにより行うこととする。(以下の取り扱いが新設)
ただし、基準第13条第14号ロ(1)及び(2)の要件を満たしている場合であって、少なくとも2月に1回利用者の居宅を訪問し、面接するときは、利用者の居宅を訪問しない月においては、テレビ電話装置等を活用して面接を行うことができる。なお、テレビ電話装置等を活用して面接を行う場合においても、利用者の状況に変化が認められた場合等においては、居宅を訪問することによる面接に切り替えることが適当である。また、テレビ電話装置等の活用に当たっては、個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等を遵守すること。
テレビ電話装置等を活用して面接を行うに当たっては、以下のイからホに掲げる事項について留意する必要がある。

イ 文書により利用者の同意を得る必要があり、その際には、利用者に対し、テレビ電話装置等による面接のメリット及びデメリットを含め、具体的な実施方法(居宅への訪問は2月に1回であること等)を懇切丁寧に説明することが重要である。なお、利用者の認知機能が低下している場合など、同意を得ることが困難と考えられる利用者については、後述のロの要件の観点からも、テレビ電話装置等を活用した面接の対象者として想定されない。
ロ 利用者の心身の状況が安定していることを確認するに当たっては、主治の医師等による医学的な観点からの意見や、以下に例示する事項等も踏まえて、サービス担当者会議等において総合的に判断することが必要である。
・介護者の状況の変化が無いこと。
・住環境に変化が無いこと(住宅改修による手すり設置やトイレの改修等を含む)
・サービス(保険外サービスも含む)の利用状況に変更が無いこと
ハ テレビ電話装置等を活用して面接を行うに当たっては、利用者がテレビ電話装置等を介して、利用者の居宅において対面で面接を行う場合と同程度の応対ができる必要がある。なお、テレビ電話装置等の操作については、必ずしも利用者自身で行う必要はなく、家族等の介助者が操作を行うことは差し支えない。
ニ テレビ電話装置等を活用して面接を行う場合、画面越しでは確認できない利用者の健康状態や住環境等の情報については、サービス事業所の担当者からの情報提供により補完する必要がある。この点について、サービス事業所の担当者の同意を得るとともに、サービス事業所の担当者の過度な負担とならないよう、情報収集を依頼する項目や情報量については留意が必要である。なお、サービス事業所の担当者に情報収集を依頼するに当たっては、別途通知する「情報連携シート」を参考にされたい。
ホ 主治の医師、担当者その他の関係者の合意を得る方法としては、サービス担当者会議のほか、利用者の通院や訪問診療への立会時における主治の医師への意見照会や、サービス事業所の担当者との日頃の連絡調整の際の意見照会も想定されるが、いずれの場合においても、合意に至るまでの過程を記録しておくことが必要である。

(6)福祉用具貸与及び特定福祉用具販売の居宅サービス計画への反映
 今改定で福祉用具貸与または特定福祉用具販売を利用者が選択できることになり、介護支援専門員はそのメリットやデメリット、アセスメントの結果に加えて、医師やリハビリテ-ション専門職から意見聴取などを行うことになった。
対象福祉用具(指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)第 199 条第2号に定める対象福祉用具をいう。以下同じ。)を居宅サービス計画に位置づける場合には、福祉用具の適時適切な利用及び利用者の安全を確保する観点から、基準第13条第5号の規定に基づき、福祉用具貸与又は特定福祉用具販売のいずれかを利用者が選択できることや、それぞれのメリット及びデメリット等、利用者の選択に資するよう、必要な情報を提供しなければならない。なお、対象福祉用具の提案を行う際、利用者の心身の状況の確認に当たっては、利用者へのアセスメントの結果に加え、医師や リハビリテーション専門職等からの意見聴取、退院・退所前カンファレンス又はサービス担当者会議等の結果を踏まえることとし、医師の所見を取得する具体的な方法は、主治医意見書による方法のほか、診療情報提供書又は医師から所見を聴取する方法が考えられる。

福祉用具専門相談員との関連性に注目――福祉用具貸与から特定福祉用具販売への変更は、ケアプランの軽微な変更
上記内容は「福祉用具貸与の具体的取扱方針及び福祉用具貸与計画の作成」についても規定されている。また福祉用具専門員のモニタリング(6月に1回)の留意点も以下のとおり規定された。
福祉用具専門相談員に対して、福祉用具貸与計画に記載した時期にモニタリングを行うとともに、その際、居宅サービスの提供状況等について記録し、その記録を居宅介護支援事業者に報告することを義務づけるものである。当該報告は、居宅介護支援事業者において、福祉用具貸与が居宅介護サービス計画に即して適切に提供されているかどうか、また、当該福祉用具貸与計画策定時からの利用者の身体の状況等の変化を踏まえ、利用中の福祉用具が適切かどうかなどを確認するために行うものである。
福祉用具専門相談員は、当該モニタリングの結果により、解決すべき課題の変化が認められるなどの場合においては、当該居宅介護支援事業者とも相談の上、必要に応じて当該福祉用具貸与計画の変更を行うこと。
また、対象福祉用具に係る指定福祉用具貸与の提供に当たっては、利用開始時から6月以内に少なくとも1回モニタリングを行い、福祉用具の利用の必要性を確認するとともに、必要に応じて、利用者の選択に当たって必要な情報の提供を行う。当該検討に当たっては、リハビリテーション会議又はサービス担当者会議といった多職種が協議する場を活用するほか、関係者への聴取による方法も考えられる。なお、やむを得ない事情により利用開始時から6月以内にモニタリングを実施できなかった場合については、実施が可能となった時点において、可能な限り速やかにモニタリングを実施するものとする。
なお、対象福祉用具の福祉用具貸与から特定福祉用具販売への変更については、ケアプランの以下のとおり軽微な変更とされている。
指定福祉用具貸与の提供を受けている対象福祉用具(指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)第199条第2号に定める対象福祉用具をいう。)をそのまま特定福祉用具販売へ変更する場合に、「軽微な変更」に該当する場合があるものと考えられる。
なお、これはあくまで例示であり、「軽微な変更」に該当するかどうかは、変更する内容が同基準第13条第3号(継続的かつ計画的な指定居宅サービス等の利用)から第12号(担当者に対する個別サービス計画の提出依頼)までの一連の業務を行う必要性の高い変更であるかどうかによって軽微か否かを判断すべきものである。

軽微な変更に関連して「利用者の状態に大きな変化が見られない」の取扱いについて以下の下線部が追加されている。「利用者の状態に大きな変化が見られない」の取扱いについては、まずはモニタリングを踏まえ、サービス事業者間(担当者間)の合意が前提である。
その上で具体的には、「介護サービス計画書の様式及び課題分析標準項目の提示について」(平成11年11月12日老企第29号)の「課題分析標準項目(別添)」等のうち、例えば、以下の項目が掲げられている。

・「健康状態及び心身の状況(身長、体重、BMI、血圧、既往歴、主傷病、症状、痛みの有無、褥そうの有無等)受診に関する状況(かかりつけ医・かかりつけ歯科医の有無、その他の受診先、受診頻度、受診方法、受診時の同行者の有無等)、服薬に関する状況(かかりつけ薬局・かかりつけ薬剤師の有無、処方薬の有無、服薬している薬の種類、服薬の実施状況等)、自身の健康に対する理解や意識の状況」
・「ADL(寝返り、起き上がり、座位保持、立位保持、立ち上がり、移乗、移動方法(杖や車椅子の利用有無等を含む)、歩行、階段昇降、食事、整容、更衣、入浴、トイレ動作等)」
 ・「IADL(調理、掃除、洗濯、買物、服薬管理、金銭管理、電話、交通機関の利用、車の運転等)」
・「日常の意思決定を行うための認知機能の程度、判断能力の状況、認知症と診断されている場合の中核症状及び行動・心理症状の状況(症状が見られる頻度や状況、背景になりうる要因等)」
 ・「コミュニケーションの理解の状況、コミュニケーションの表出の状況(視覚、聴覚等の能力、言語・非言語における意思疎通)、コミュニケーション機器・方法等(対面以外のコミュニケーションツール(電話、PC、スマートフォン)も含む)」
 ・「1日及び1週間の生活リズム・過ごし方、日常的な活動の程度(活動の内容・時間、活動量等)、休息・睡眠の状況(リズム、睡眠の状況(中途覚醒、昼夜逆転等)等)」
「排泄の場所・方法、尿・便意の有無、失禁の状況等、後始末の状況等、排泄リズム(日中・夜間の頻度、タイミング等)、排泄内容(便秘や下痢の有無等)」
「入浴や整容の状況、皮膚や爪の状況(皮膚や爪の清潔状況、皮膚や爪の異常の有無等)、寝具や衣類の状況(汚れの有無、交換頻度等)」
・「歯の状態(歯の本数、欠損している歯の有無等)、義歯の状況(義歯の有無、汚れ・破損の有無等)、かみ合わせの状態、口腔内の状態(歯の汚れ、舌苔・口臭の有無、口腔乾燥の程度、腫れ・出血の有無等)、口腔ケアの状況」
・「食事摂取の状況(食形態、食事回数、食事の内容、食事量、栄養状態、水分量、食事の準備をする人等)、摂食嚥下機能の状態、必要な食事の量(栄養、水分量等)、食事制限の有無」
 ・「行動・心理症状(BPSD)(妄想、誤認、幻覚、抑うつ、不眠、不安、攻撃的行動、不穏、焦燥、性的脱抑制、収集癖、叫声、泣き叫ぶ、無気力等)」
等を総合的に勘案し、判断すべきものである。

 

(7)業務継続計画の策定、感染症予防及びまん延防止の努力義務から義務となる
これまでは、感染症及び災害の業務継続計画を一体的に策定することを妨げるものではないと規定されていたが、さらに、感染症に係る業務継続計画並びに感染症の予防及びまん延の防止のための指針については、それぞれに対応する項目を適切に設定している場合には、一体的に策定することとして差し支えないとも規定された。ただ努力義務から義務化されることに伴い、感染症の予防及びまん延の防止のための対策担当者については以下のように規定されている。
〇なお、同一事業所内での複数担当(※)の兼務や他の事業所・施設等との担当(※)の兼務については、担当者としての職務に支障がなければ差し支えない。ただし、日常的に兼務先の各事業所内の業務に従事しており、利用者や事業所の状況を適切に把握している者など、各担当者としての職務を遂行する上で支障がないと考えられる者を選任すること。
(※)身体的拘束等適正化担当者、褥瘡予防対策担当者(看護師が望ましい。)、感染対策担当者(看護師が望ましい。)、事故の発生又はその再発を防止するための措置を適切に実施するための担当者、虐待の発生又はその再発を防止するための措置を適切に実施するための担当者、虐待防止担当者も同様の取り扱いだ。

居宅介護支援に関連する質疑応答その1も公表――入院時情報連携加算の様式も変更へ
3月15日に公表された質疑応答その1では、多くの質疑応答がある。このうち居宅介護支援事業所に関連する項目を以下に抜粋紹介する。
○テレビ電話装置等を活用したモニタリングについて
問1 テレビ電話装置等を活用したモニタリングについて、訪問介護員が訪問している間に、テレビ電話装置等の準備をすることは可能か。
(答)
訪問介護の提供に支障が生じない範囲で、例えばICT 機器の On/Off 等の協力などを行うことは差し支えないが、具体的な実施方法や連携方法等は、あらかじめ指定居宅介護支援事業所と訪問介護事業所とで調整すること。また、協力・連携の範囲について、利用者の要望や目的によっては、適切ではない場合等もあると考えられるため、その必要性等については、状況に応じて判断する必要がある。
○テレビ電話装置等を活用したモニタリングについて
問2 居宅サービス計画又は介護予防サービス計画(以下「居宅サービス計画等」という。)を作成後、初回のモニタリングについてもテレビ電話装置等を活用して行うことは可能か。
(答)
要件を満たしていれば可能であるが、居宅サービス計画等の実施状況を適切に把握する観点から、初回のモニタリングは利用者の居宅を訪問して行い、その結果を踏まえた上で、テレビ電話装置等を活用したモニタリングが可能かどうかを検討することが望ましい。
○テレビ電話装置等を活用したモニタリングについて
問3 情報連携シートの項目はすべて記載する必要があるか。
(答)
テレビ電話装置等を活用したモニタリングのみでは収集できない情報について、居宅サービス事業者等に情報収集を依頼する項目のみを記載すればよい。
○テレビ電話装置等を活用したモニタリングについて
問4 サービス事業所に情報収集を依頼するにあたり、情報連携シートではなく、民間の介護ソフト・アプリの記録機能を活用する方法は認められるか。
(答)
情報連携シートは様式例であるため、必ずしもこの様式に限定されないが、介護ソフト・アプリの記録機能を活用する場合においても、情報連携シートの項目と照らし、指定居宅介護支援事業者と居宅サービス事業者等の連携に必要な情報が得られるかを確認すること。
○テレビ電話装置等を活用したモニタリングについて
問5 利用者に特段の事情がある場合には1月に1回(介護予防支援の場合は3月に1回)のモニタリングを行わなくてもよいが、利用者が使用するテレビ電話装置等のトラブルによりモニタリングが実施できなかった場合は特段の事情に該当するか。
(答)
該当しない。この場合は、利用者の居宅への訪問によるモニタリングに切り替えること。
○テレビ電話装置等を活用したモニタリングについて
問6 文書により利用者の同意を得る必要があるが、重要事項説明書等にチェック欄を設けるなどの対応でも差し支えないか。
(答)
利用者やその家族に対し、テレビ電話装置等を活用したモニタリングについて、そのメリット・デメリットを含め十分に説明した上で、チェック欄にチェックを入れることにより同意を得ることは差し支えない。
○福祉用具について
問7 選択制の対象福祉用具を居宅サービス計画等に位置付ける場合、主治医意見書や診療情報提供書に福祉用具に関する記載がない場合は、追加で医師に照会する必要があるか。
(答)
追加で医師に照会することが望ましいが、主治医意見書や診療情報提供書、アセスメント等の情報から利用者の心身の状況を適切に把握した上で、貸与・販売の選択に必要な情報が得られているのであれば、必ずしも追加の照会は要しない。

○福祉用具について
問8 福祉用具貸与については、居宅サービス計画等作成後、利用者が継続して福祉用具貸与を受ける必要性について検証し、継続して福祉用具貸与を受ける必要がある場合には、その理由を再び居宅サービス計画等に記載しなければならないこととなっており、選択制の対象福祉用具の貸与を行った場合、福祉用具専門相談員が少なくとも6月以内にモニタリングを行い、その結果を居宅サービス計画等を作成した指定居宅支援事業者等に報告することとされているが、居宅サービス計画等の見直し又は継続理由の記載については福祉用具専門相談員のモニタリングと同様に6月以内に行う必要があるのか。
(答)
必ずしも6月以内に行う必要はないが、福祉用具専門相談員からモニタリングに関する情報提供があった後、速やかに居宅サービス計画等の見直し又は継続理由の記載を行うこと。

【居宅介護支援】
○取扱件数による基本単位区分
問9 利用者数が介護支援専門員1人当たり45件以上の場合における居宅介護支援費(Ⅰ)(ⅰ)、居宅介護支援費(Ⅰ)(ⅱ)又は居宅介護支援費(Ⅰ)(ⅲ)の割り当てについて具体的に示されたい。
(答)
【例1】
取扱件数80人で常勤換算方法で1.6人の介護支援専門員がいる場合
①45(件)×1.6(人)=72(人)
②72(人)-1(人)=71(人)であることから、
1件目から71件目については、居宅介護支援費(Ⅰ)(ⅰ)を算定し、72件目から80件目については、居宅介護支援費(Ⅰ)(ⅱ)を算定する。
【例2】
取扱件数160人で常勤換算方法で2.5人介護支援専門員がいる場合
①45(件)×2.5(人)=112.5(人)
②端数を切り捨てて112(人)であることから、
1件目から112件目については、居宅介護支援費(Ⅰ)(ⅰ)を算定する。
113件目以降については、
③60(件)×2.5(人)=150(人)
④150(人)-1(人)=149(人)であることから、
113件目から149件目については居宅介護支援費(Ⅰ)(ⅱ)を算定し、150件目から160件までは、居宅介護支援費(Ⅰ)(ⅲ)を算定する。
※平成 21 年度介護報酬改定関係Q&A( Vol 1)(平成 21 年3月 23 日)問 58 の修正。

○居宅介護支援費(Ⅱ)の要件
問10 事務職員の配置にあたっての当該事業所の介護支援専門員が行う基準第13条に掲げる一連の業務等について具体例を示されたい。
(答)
基準第13条に掲げる一連の業務等については、基準第13条で定める介護支援専門員が行う直接的なケアマネジメント業務の他に、例えば、以下のような間接的なケアマネジメント業務も対象とする。
<例>
○要介護認定調査関連書類関連業務
・書類の受領、打ち込み、複写、ファイリングなど
○ケアプラン作成関連業務
・関連書類の打ち込み、複写、ファイリングなど
○給付管理関連業務
・関連書類の打ち込み、複写、ファイリングなど
○利用者や家族との連絡調整に関する業務
○事業所との連絡調整、書類発送等業務
○保険者との連絡調整、手続きに関する業務
○給与計算に関する業務等
※令和3年度介護報酬改定関係Q&A( Vol 3)(令和3年3月 26 日)問 116 の修正。

○特定事業所加算
問11 「家族に対する介護等を日常的に行っている児童、障害者、生活困窮者、難病患者等の高齢者以外の対象者への支援に関する知識等に関する事例検討会、研修等に参加していること」について、自ら主催となって実施した場合や「他の法人が運営する指定居宅介護支援事業者と共同で事例検討会、研修会等を実施」した場合も含まれるか。
(答)
含まれる。

○特定事業所加算
問12 「家族に対する介護等を日常的に行っている児童、障害者、生活困窮者、難病患者等の高齢者以外の対象者への支援に関する知識等に関する事例検討会、研修等に参加していること」について、これらの対象者に対し支援を行った実績は必要か。
(答)
・事例検討会、研修等に参加していることを確認できればよく、支援実績までは要しない。
・なお、当該要件は、介護保険以外の制度等を活用した支援が必要な利用者又はその家族がいた場合に、ケアマネジャーが関係制度や関係機関に適切に繋げられるよう必要な知識等を修得することを促すもので あり、ケアマネジャーに対しケアマネジメント以外の支援を求めるものではない。
○入院時情報連携加算
問13 入院日以前の情報提供については、入院何日前から認められるか。
(答)
特段の定めは設けていないが、情報提供日から実際の入院日までの間隔があまりにも空きすぎている場合には、入院の原因等も踏まえた上で適切に判断すること。

○入院時情報連携加算について
問14 入院時情報連携加算(Ⅰ)及び(Ⅱ)について、入院したタイミングによって算定可能な日数が変わるが、具体的に例示されたい。
(答)
入院時情報連携加算(Ⅰ)及び(Ⅱ)

○契約時の説明について
問15 今回の改定において、ケアマネジメントの公正中立性の確保を図る観点から、利用者に、前6か月間に作成したケアプランにおける、訪問介護、通所介護、地域密着型通所介護、福祉用具貸与(以下、訪問介護等という。)の各サービスの利用割合及び前6か月間に作成したケアプランにおける、訪問介護等の各サービスの、同一事業者によって提供されたものの割合(以下、訪問介護等の割合等)の説明を行うことが努力義務とされたが、具体的な説明方法として、どのような方法が考えられるか。
(答)
・例えば、以下のように重要事項説明書等に記載し、訪問介護等の割合等を把握できる資料を別紙として作成し、居宅介護支援の提供の開始において示すとともに説明することが考えられる。
・なお、「同一事業者によって提供されたものの割合」については、前6か月間に作成したケアプランに位置付けられた訪問介護等の各事業所における提供回数のうち(※同一事業所が同一利用者に複数回提供してもカウントは1)、同一事業所によって提供されたものの割合であるが、その割合の算出に係る小数点以下の端数処理については、切り捨てても差し支えな い。
<例>
※重要事項説明書
第●条
当事業所のケアプランの訪問介護、通所介護、地域密着型通所介護、福祉用具貸与の利用状況は別紙のとおりである。
※別紙

※令和3年度介護報酬改定関係Q&A( Vol 3)(令和3年3月 26 日)問 111 の修正。
※令和3年度介護報酬改定関係Q&A( Vol 3)(令和3年3月 26 日)問 112 、問 115 は
削除する。
【介護予防支援】
○管理者について
問16 指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第38号)の附則の規定により、令和9年3月31 日までの間は、引き続き、令和3年3月31日における管理者である介護支援専門員(主任介護支援専門員を除く)を管理者とすることができるとされているが、指定居宅介護支援事業者である指定介護予防支援事業者が、上記の介護支援専門員を管理者とすることは可能か。
(答)
原則不可だが、主任介護支援専門員の確保が著しく困難である等やむを得ない理由がある場合はこの限りでない。

○地域包括支援センターからの介護予防支援の委託
問17 介護予防支援の指定を受けている指定居宅介護支援事業者が、地域包括支援センターから介護予防支援の委託を受けることは可能か。
(答)
・可能である。
・介護予防支援の指定は、介護予防支援の提供を受ける被保険者の保険者ごとに指定を受ける必要があるため、例えば、指定を受けていない保険者の管轄内に居住する被保険者に対し介護予防支援を提供する場合に は、当該保険者の管轄する地域包括支援センターからの委託を受ける場合が考えられる。

(顧問 宮坂 佳紀)


始まりの季節

もうすぐ4月になりますが、春と言えば桜や出会い・別れ・進学・就職・花粉など様々なことを思い浮かべます。

働く私たちからすると特に新しい人が会社や法人に入職してくるワクワクやドキドキが一番身近なものとして感じるかもしれません。そういう意味からも「春は始まりの季節」と言えるのではないでしょうか。

令和6年の介護報酬改定でどことなくソワソワしている感じもありますが、一つ介護支援専門員として忘れてはならないことがあります。それは、現在実施されている介護支援専門員実務研修を受講されている新しい私たちの仲間がいることです。令和5年度(第26回)京都府介護支援専門員実務研修受講試験では1,559名が申し込みを行い、1,413名が受験。そのうち313名が合格されました。合格率は22.2%と前年に比べ少し高めの合格率となりました。

ふと気になって今までの試験合格者を調べてみると、京都府が公表している情報で平成10年度の第1回(介護保険法施行は平成12年)から令和5年度の第26回までの合格者数は17,097名。第1回の合格者が2,151名に対して直近5年間の合格者は181名、196名、307名、256名、313名と時代背景や合格率の違いから激減している状況です。この数字を充足しているからと捉えるのか、希望者が減っているからと捉えるのかは難しいところですが、これからの介護保険を支える新しいケアマネジャーが誕生しようとしていることに違いありません。

これから始まるケアマネジャー生活がどのようなものになるのか、不安と期待が入り混じった複雑な心境がどことなく春を迎える心境に似ているように感じます。枕草子には「春は、あけぼの。やうやう白くなりゆく山ぎは、すこしあかりて、紫だちたる雲の、細くたなびきたる。」とあります。現代語訳すると「春は、夜明け(が良い)。だんだんと白くなっていく山際の空が、少し明るくなって、紫がかった雲が、細くたなびいている。」という内容ですが、すごく簡単にまとめて言うと「春は明け方に一番趣があって良い」ということです。

始まりの季節と呼ばれる春にぴったりだと感じますが、実務研修はケアマネジャーの基本的なことを学ぶまさにケアマネジャーの明け方です。しかし、ケアマネジャーにとって実務研修の時期が一番良いとなってしまうのは避けたいところです。

この先、ケアマネジャーとして質を高め深めていった時が一番魅力ある良い時だと感じられる、そんな過程を過ごしてほしいと願うばかりです。魅力ある仕事であることを伝え続けていくのは私たち現役ケアマネジャーの役割。皆でケアマネジャーの始まりの季節を過ごしている実務研修の受講者を温かく応援していきませんか。

(広報委員長 中嶋 優)

 

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