209号 2024/02

2024年度介護報酬改定動向(4)――ケアマネジャーとして知っておきたい連携評価

2024年度介護報酬改定では、居宅介護支援の入院先医療機関との連携評価として「入院時情報連携加算」が(Ⅰ)(Ⅱ)とも引上げられたが算定要件が厳格化された。(Ⅰ)は200単位から250単位に引上げられ、入院当日中に情報提供した場合に算定可能。この入院当日とは営業時間終了後または営業日以外の日に入院した場合、入院日翌日でも認められる。(Ⅱ)は100単位から200単位と倍増評価だ。入院日の翌日又は翌々日に、情報提供した場合となった。

今回はケアマネジャーとして知っておきたい介護保険施設と医療機関間の連携評価項目などについて概説したい。

介護保険施設と協力医療機関との連携体制評価――協力医療機関連携加算の新設

介護保険施設は、協力医療機関を定めることが求められている。今回の改定では、在宅医療を担う医療機関や在宅医療を支援する地域の医療機関等と実効性のある連携体制を構築ため、以下の要件を満たす医療機関との連携体制が3年間の経過措置があるものの、義務つけられた。その要件は、①入所者の病状が急変した場合等において、医師又は看護職員が相談対応を行う体制を常時確保している。②診療の求めがあった場合に、診療を行う体制を常時確保している。

③入所者の病状の急変が生じた場合等において、当該施設の医師又は協力医療機関その他の医療機関の医師が診療を行い、入院を要すると認められた入所者の入院(病院に限る)を原則として受け入れる体制を確保している、ことだ。さらに(1)1年に1回以上、協力医療機関との間で、入所者の病状の急変が生じた場合等の対応を確認するとともに、協力医療機関の名称等について、事業所指定を行った自治体に提出する。(2)入所者が協力医療機関等に入院した後に、病状が軽快し、退院が可能となった場合は、速やかに再入所させることができるように努める、ことも求められる。これら要件を満たし、入所者の原病歴などの情報共有をするため会議を定期的に開催した場合、介護保険施設に「協力医療機関連携加算」100単位(2025年度~は50単位)が新設された。同様の加算は報酬評価が異なるものの認知症対応型共同生活介護や特定施設入居者生活介護にも評価されている。

介護保険施設の協力医療機関側にも2024年度診療報酬で新設される、「協力対象施設入所者入院加算」として入院の受入や往診時の評価もある。併せて在宅療養支援病院の施設基準にも介護保険施設との協力医療機関体制が求められることになった。

入院時の医療機関への情報提供の評価――退所時情報提供加算の見直しなど

介護老人保健施設と介護医療院には「退所時情報提供加算」500単位が評価されていたが、居宅への退所と医療機関への退所(入院)と情報先を区分して報酬を見直しした。加算(Ⅰ)(500単位)は居宅への退所で居宅の主治医への連携評価。加算(Ⅱ)(250単位・新設)は医療機関への退院時の情報提供に区分された。医療機関への退院(入院)の情報提供の評価は、退所時情報提供加算(250単位)として介護老人福祉施設や特定施設入居者生活介護、地域密着型特定施設入居者生活介護、認知症対応型共同生活介護、地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護に新設されている。

介護老人保健施設では、急性期医療機関入院後30日以内に退院した患者を受入した場合、初期加算(Ⅰ)1日60単位が新設された。従来の初期加算は(Ⅱ)となり報酬は30単位と据置。いずれかを算定する。(Ⅰ)の要件は介護老人保健施設の空床情報について、地域医療情報連携ネットワーク等を通じ、地域の医療機関に定期的に情報を共有している。(2)介護老人保健施設の空床情報について、介護老人保健施設のウェブサイトに定期的に公表するとともに、急性期医療を担う複数医療機関の入退院支援部門に対し、定期的に情報共有を行っていることだ。

退所者の栄養管理の情報連携評価――退所時栄養情報連携加算70単位の新設など

介護保険施設から居宅、他の介護保険施設、医療機関などへの退所者の栄養管理に関する情報連携が切れ目なく行われるようにする観点から「退所時栄養情報連携加算70単位/回」も新設された。介護保険施設の管理栄養士が情報提供することが要件。対象者は特別食提供者や低栄養状態と医師が判断したものだ。介護保険施設の管理栄養士業務の評価として「再入所時栄養連携加算」200単位/回)(据置)も、医療機関から介護保険施設への再入所者で特別食等を提供する必要がある利用者が算定対象となるよう見直しされている。

ターミナルケア、看取り対応体制の評価――短期入所生活介護などにも新設評価

連携評価に関連して、ターミナルケア加算などにも注目してほしい。

居宅介護支援のターミナルケアマネジメント加算は、末期がん患者に限定せず、対象利用者の見直しがあった。併せて「特定事業所医療介護連携加算」の算定要件もターミナルケアマネジメント加算算定回数が厳格化された。

訪問入浴介護では看取り期の利用者へのサービス提供について、その対応や医師・訪問看護師等の多職種との連携体制を推進する観点から、事業所の看取り対応体制の整備を評価した「看取り連携体制加算(64単位/回、死亡日及び死亡日以前30日以下)が新設された。訪問看護のターミナルケア加算も2500単位(死亡月)と500単位引上げられ、診療報酬と同額の評価となった。短期入所生活介護では「看取り連携体制加算」(64単位/日(新設)死亡日及び死亡日以前30日以下について、7日を限度)が新設。

介護老人保健施設のターミナルケア加算の見直しとして、死亡日以前31日以上45日以下の区分の評価を引下げ、死亡日の前日及び前々日並びに死亡日の評価を引き上げた。

介護保険施設と医療機関などとの連携評価は、情報共有という視点からケアマネジャーも認識しておいていただきたい。

(顧問 宮坂 佳紀)


雨水

二十四節季が立春から雨水「うすい」へと変わり本格的な春を迎える季節となりました。雨水とは、雪が雨へと変わって降り注ぎ、降り積もった雪や氷もとけて水になる頃という意味で、厳しい寒さが和らぎ暖かな雨が降ることで、雪解けが始まる頃です。雨水になると雪解け水で土が潤い始めるため、農耕の準備を始める目安とされました。

皆さまは雛人形を飾られていますか?立春を迎えたら飾ると言われていますが、つい出しそびれてしまわれている方は、雨水に出すのがおすすめとのことです。もともと雛祭りは水に関係する行事で、鳥取では「流しびな」と厄を移した人形を川に流していました。水に流していたことに由来するため、「水が豊かになる雨水に雛人形を飾り始めると良縁に恵まれる」と言われているそうです。また2月24日は一粒の籾が何倍にも成長して大きな利益をもたらす日という一粒万倍日です。まだ出されていない方は、ぜひ一緒にお雛様出しませんか。この歳では良縁もどうかなと思いますが…。日々の生活や仕事でのお出会いもまた良縁と思えば、いろいろと支えてもらえる人たちに囲まれて過ごせる毎日が大切だと感じました。お雛様に思いをはせて飾りながら、ひなあられをいただきたいと思います。

(広報委員 橋本 かおり)

 

ページの先頭へ