177号 2022/02

ケアマネメールニュース(2022年2月号)

「ケアマネジャーとして知っておきたい今月の医療と介護の情報(MCIメディケアインフォメーション)」

2022年4月は、2年に1回見直しされる診療報酬改定を迎える。今回もケアマネジャーとして知っておきたい「2022年度診療報酬改定動向」のうち在宅療養支援診療所(病院)の算定要件の見直し項目などに焦点をあてポイントを解説したい。

初診料の機能強化加算が体制加算から実績加算へ見直し――緊急往診や看取り加算などの実績が必要

医療機関の初診料には、在宅療養支援診療所(病院)の届出をしておれば、往診(患家からの要請による訪問サービス)や訪問診療(安定した在宅患者に医療機関が1月1~2回など予定して実施する在宅サービス)の実績がなくとも「体制加算」として機能強化加算(80点)が算定可能であった。2022年度診療報酬改定では機能強化加算に「実績」が必要となる。具体的に在宅療養支援診療所は、過去1年間の緊急往診(診療時間内の往診や休日、深夜、夜間往診)の実績が3件以上または在宅における看取り(在宅で患者を看取った場合)の実績が1件以上又は過去1年間の15歳未満の超重症児及び準超重症児に対する在宅医療の実績が1件以上。在宅療養支援病院は、緊急往診(前述とおり)3件以上または看取り1件以上または在宅療養支援診療所等からの要請により患者の緊急入院受入を行った実績の合計が直近1年間で3件以上が要件化され、体制加算から「実績加算」となった。9月末日までの経過措置があるものの、予定して実施する訪問診療のみでは算定要件を満たさないことになる。

さらに「機能強化加算」の施設基準に「地域における保健・福祉・行政サービス等に係る対応として、以下のいずれかを行っている常勤の医師を配置」することも新設された。対応すべき項目には①介護保険制度の利用等に関する相談への対応及び要介護認定に係る主治医意見書の作成を行っている、②「地域包括支援センターの設置運営について」に規定する地域ケア会議に出席している、③通いの場や講演会等の市町村が行う一般介護予防事業に協力していることなど、介護保険サービスへの関与も要件となっている。

在宅療養支援診療所(病院)にはサービス担当者会議への出席が施設基準に追加――ヤングケアラー及びその家族も入退院支援加算の要件に追加

在宅療養支援診療所(病院)の施設基準の見直し項目では、ケアマネジヤーに関連する項目が少なくはない。在宅療養支援診療所及び在宅療養支援病院の施設基準では、年1回看取り患者数や「緊急往診加算」数を報告する必要がある。この報告内容に「地域ケア会議等への出席状況等」が追加。要件として市町村が実施する在宅医療・介護連携推進事業等において、在宅療養支援診療所以外の診療所及び介護保険施設等と連携し、地域ケア会議、在宅医療・介護に関するサービス担当者会議又は病院若しくは介護保険施設等で実施される他職種連携に係る会議に出席していることが望ましいことも追加された。「望ましい」となっているが、次回(2024年度)診療報酬改定では「義務化」されると予測できる。

入院料の加算である「入退院支援加算1、2」(入院中だけでなく入院前後、退院後の生活の支援する目的で評価)の算定患者(退院困難な要因を有する患者)として、ヤングケアラー及びその家族が追加。具体的には①家族に対する介助や介護等を日常的に行っている児童等であること、②児童等の家族から、介助や介護等を日常的に受けていることである。また、入退院支援加算1(複数の相談員(看護師や社会福祉士)を配置)には、医療機関・介護事業所との連携構築:20以上の医療機関または介護サービス事業所等と転院・退院体制についてあらかじめ協議し、連携を図っていることが要件となっているが、この連携事業所数が20以上から25以上に引上げられた。

外来ではオンライン診療の点数引上げ――マイナンバーカード資格確認システムも導入へ

感染症対策として外来には診療所のみに外来感染対策向上加算6点が新設。患者1人につき外来で月1回限り算定とする。院内感染管理者を配置していることなどを要件に設定。さらに新興感染症の発生時等に、都道府県等の要請を受けて発熱患者の外来診療等を実施する体制を有し、そのことについてホームページ等により公開することも規定している。厚生労働省は発熱外来を行っている約3万5000施設が対象になるとみているようだ。施設基準では感染防止対策につき、感染対策向上加算1に係る届出を行っている医療機関又は地域の医師会と連携としてカンファレンス参加や1週間に1回程度、定期的に院内を巡回し、院内感染事例の把握を行うことなどのハードルが高い加算となっている。

病院では入院料の「感染防止対策加算」から「感染対策向上加算」と名称変更され、施設基準の見直しがあったが点数は引上げとなっている。

オンライン診療については、改定前より初診料、再診料、各種指導料の報酬が引き上げられている。「電子的保健医療情報活用加算」は初診料に7点、再診料に4点それぞれ月1回算定も新設。対象患者はマイナンバーカード資格確認届出(オンライン資格確認システムを活用)する医療機関を受診した患者。ただ、マイナンバーカードには特定健診や処方薬剤などの情報が入力される予定であるため、当面の取り扱いは限定されそうだ。

入院ではデータ提出加算が評価されていたが、外来でもデータ提出評価が新設。生活習慣病管理料、在宅時医学総合管理料、施設入居時等医学総合管理料、在宅がん医療総合診療料及び疾患別リハビリテーション料において、医療機関が診療報酬の請求状況、治療管理の状況等の診療の内容に関するデータを継続して厚生労働省に提出している場合の評価を新設した。ただし、介護保険のLIFEと同じく「外来医療等のデータ」については、2023年10月診療分をめどにデータ提出を受け付ける方向で対応するという先送り改定である。

リフィル処方箋が導入されるも交付医療機関は限定?――不眠剤や湿布薬は対象外

 「リフィル処方箋」とは、1枚の処方箋を繰り返し使用し、医療機関に行かず、薬局に行くだけで薬を受け取ることができる仕組み。リフィル(refill)とは、「re:再び、fill:調剤する」、「飲食物のおかわり」という意味をもつ英語である。対象患者は医師の処方により、薬剤師による服薬管理の下、一定期間内に処方箋の反復利用が可能である患者。1枚の処方箋に医師が「リフィル可」とチェックすることで例えは1回30日分の処方箋が3回まで使用でき、患者にとっては診察料、指導料、処方箋交付料などが安価となる。医療機関にとっては受診回数減少により経営面ではマイナス。ただ大病院では慢性期の外来患者数減少に向けた政策誘導的な診療報酬の取り扱いもあって、採用するケースが増えるとも考えられる。

留意点としては、(1)医療機関の医師がリフィルによる処方が可能と判断した場合には、処方箋の「リフィル可」欄にレ点を記入する。(2)リフィル処方箋の総使用回数の上限は3回まで。また、1回当たり投薬期間及び総投薬期間は、医師が、患者の病状等を踏まえ、個別に医学的に適切と判断した期間とする。(3)投薬量に限度が定められている医薬品(向精神薬など)及び湿布薬は、リフィル処方箋による投薬を行うことはできない。(4)リフィル処方箋による1回目の調剤を行うことが可能な期間は、通常の処方箋の場合と同様(交付日から4日以内)

とする。2回目以降の調剤は、原則として、前回の調剤日を起点とし、当該調剤に係る投薬期間を経過する日を次回調剤予定日とし、その前後7日以内とする。(5)保険薬局は、1回目又は2回目(3回可の場合)に調剤を行った場合、リフィル処方箋に調剤日及び次回調剤予定日を記載するとともに、調剤を実施した薬局の名称及び薬剤師の氏名を余白又は裏面に記載の上、当該「リフィル処方箋の写し」を保管する。また、当該リフィル処方箋の総使用回数の調剤が終わった場合、調剤済処方箋として保管すること。(6)薬局の薬剤師は、リフィル処方箋により調剤するに当たって、患者の服薬状況等の確認を行い、リフィル処方箋により調剤することが不適切と判断した場合には、調剤を行わず、受診勧奨を行うとともに、処方医に速やかに情報提供を行う。また、リフィル処方箋により調剤した場合は、調剤した内容、患者の服薬状況等について必要に応じ処方医へ情報提供を行う。(7)薬局の薬剤師は、リフィル処方箋の交付を受けた患者に対して、継続的な薬学的管理指導のため、同一の保険薬局で調剤を受けるべきである旨を説明すること。(8)薬局の薬剤師は、患者の次回の調剤を受ける予定を確認すること。予定される時期に患者が来局しない場合は、電話等により調剤の状況を確認する。患者が他の保険薬局において調剤を受けることを申し出ている場合は、当該他の保険薬局に調剤の状況とともに必要な情報をあらかじめ提供することが定められている。

政府・厚生労働省はリフィル導入により、医療機関の再診料や処方箋料が減り、改定率換算で0.1%減、国費ベースで110億円減と見込んでいる。リフィル処方箋導入効果は奏功するだろうか。

(顧問 宮坂 佳紀)


【連載企画】各ブロックの地域活動について(第13回:中丹ブロック)
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2021年2月号より地域の活動を紹介させていただいております。

第13回となる今回ご紹介させていただくのは、中丹ブロックでの活動です。

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中丹ブロックは、綾部市、舞鶴市、福知山市の3市からなるブロックで、現在7名のブロック委員に活動していただいております。毎月最終月曜日、Zoomを用いたブロック委員会が定着してきました。以前は日程調整や場所の確保に時間と労力を費やしており、なかなか前に進むことが出来ずにいましたが、オンライン開催ができるようになり、委員会の日程が固定できたことは大きいと思います。

中丹ブロックでは、委員会が開催されなかった期間がしばらくあるのですが、「ブロック委員として何をしたらよいか分からない」という声や、引き継ぎが不十分な状況も見受けられました。これは、私が担当理事としてブロック活動に関わらせていただき、私自身が今も学んでいることなのですが、主体はケアマネジャー自身だということ。自分達がどのように在りたいのか、専門家同士の仲間と相談の上、決めればよいということがだんだん分かってきたように思います。未熟な私がいうのもおこがましですが、事業を運営していく姿勢や視点は、一人のケアマネジャーとして存在し、利用者と関わるだけでは見えてこなかったように思います。ある委員の「人を育てる側にならなあかんですね」という言葉にとても共感ができ、自分が学びたいとか、力量を上げたいという、ベクトルが自分に向いた動機ではなく、相手に差し上げる、相手の利を考えるという、向こう側にベクトルを向けた動機が、ブロック活動を通して少し身近に感じられるようになったのかもしれません。

地道で地味な活動ですから、ブロック活動に関わっていないケアマネジャーからは見えにくく、ブロック活動として手探りの部分もありますが、それぞれの市の単位でどのような活動を行っているか報告し、情報共有することは有益です。介護保険は地域保険ですから、そういう意味でも理にかなっており、京都府介護支援専門員会の活動部分と、それぞれの市単位の活動が融合しているところが一つの特徴ではないでしょうか。近隣の保険者の取り組みを知ることで、自分が活動する地域の保険者に対して、ケアマネジャーの側から働きかけ、全体の底上げに貢献するような活動にも、将来的には可能性があると思われます。

中丹ブロックでは、令和2年3月に中丹ブロック総会を企画していました。基調講演として「京都府介護支援専門員会とブロック活動」を予定し、各ブロックの活動報告とブロック委員の紹介、グループワークを企画していましたが、コロナ禍となり実現しませんでした。令和3年1月に開催できなかったブロック総会の一部分を記事にして、中丹ブロック新聞を発行しました。令和4年2月16日に、京都府北部リハビリテーション支援センターとの共催で「訪問リハビリテーションでできる事~介護支援専門員と訪問リハの協働~」をテーマに研修を開催することになりました。この研修は舞鶴市のブロック委員が取りまとめをしてくださっています。令和4年5月を目標に、福知山市のブロック委員が中心となってケアプラン点検の研修を検討してくださっています。

これからもブロック委員で力を合わせ、地域のケアマネジャーの支えになるよう少しずつ、少しずつ進んでいきたいと思います。

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中丹ブロックでは毎月の最終月曜日と日程を決め固定することで、ブロック委員会が定着し継続するような仕組みとなっています。以前は日程調整に苦労されていたとのことなので、常に日程が決まっていて分かりやすいと思います。

ブロック活動においてはケアマネジャーとして主体性を持って動くことや、利他の精神を持って活動することの大切さが伝わってきました。ブロック委員同士でそれぞれの自治体の情報を交換し共有することで、今後の活動の幅の広がりを見据えているのだなと思いました。いろいろな企画も検討されていて、圏域内のケアマネジャーの業務の支えになり、全体としても総合力のアップが期待できると思います。

中丹ブロックの活動内容に触れたことで会の活動や日常業務において、少しでも積極的に動き、利他の精神を持って取り組んでいこうと思いました。

(広報委員 河東 大樹)

 

 

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