104号 2017/11(臨時号)

┏┏┏┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┏┏┏ 公益社団法人 京都府介護支援専門員会
┏┏ ★ メールマガジン・増刊号 ★
┏ 2017/11/29 ★ 通算104号 ★
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
□■2017年11月29日臨時配信 通算104号□■
CONTENTS――――――――――――――――――――――――――
_/_/_/シリーズ 30年同時改定をうらなう(12)
――――――――――――――――――――――――――――――
■シリーズ 30年同時改定をうらなう(12)■
———————————————————–

11月22日に開催された社会保障審議会介護保険給付費分科会(分
科会)では居宅介護支援についての論点や対応案が提示された。今
回は、タイムリーな情報提供を行うため、臨時号で概要をお知らせ
する。

◆◆居宅介護支援は医療・介護連携を強化して高く評価、特定事業
所集中減算の見直し案も提示◆◆

分科会で厚労省から、医療・介護連携を強化し退院・退所後にス
ムーズに在宅生活へ移行するため、1)退院・退所時におけるケアプ
ランの初回作成の手間を明確に評価、2)医療機関等との連携回数に
応じた評価、3)医療機関のカンファレンスに参加した場合に上乗せ
評価―する案を提示。

(参考1)医療・介護連携の強化
(論点1)
○ 医療機関へ入院した人の退院後の円滑な在宅生活への移行を促
進するため、入退院時における医療・介護連携をさらに強化するた
めの対応を行ってはどうか。

○ 加えて、入退院時に限らず、平時からの医療機関との連携の促進
を図るための対応を行ってはどうか。

(対応案)
○ 入院時における医療機関との連携を促進する観点から、
・利用者やその家族に対して、利用者が入院した場合に担当ケアマ
ネジャーの氏名や連絡先等の情報を入院医療機関の職員等に提供す
るよう協力を依頼することについて、運営基準で明確化してはどう
か。
・入院時情報連携加算について、現行の入院後7日以内の情報提供
に加えて、入院後3日以内に利用者の情報を医療機関に提供した場
合を新たに評価するとともに、情報提供の方法(訪問又は訪問以外)
による差は設けないこととしてはどうか。また、より効果的な連携
となるよう、入院時に医療機関が求める利用者の情報を様式例とし
て示してはどうか。

○ 退院・退所後の円滑な在宅生活への移行に向けた医療機関や介護
保険施設等との連携を促進する観点から、退院・退所加算の評価を
充実させてはどうか。具体的には、以下の仕組みとしてはどうか。
・退院・退所時におけるケアプランの初回作成の手間を明確に評価
・医療機関等との連携回数に応じた評価
・加えて、医療機関におけるカンファレンスに参加した場合を上乗
せで評価
また、退院時にケアマネジャーが医療機関等から情報収集する際の
聞き取り事項を整理した様式例について、退院・退所後に必要な事
柄(医療処置、看護・リハビリの視点等)を充実させることによっ
て、退院・退所後の在宅生活へのより円滑な移行に資するよう、必
要な見直しを行ってはどうか。

○ 平時からの医療機関との連携の促進を図る観点から、
・利用者が医療系サービスの利用を希望している場合等は、利用者
の同意を得て主治の医師等の意見を求めることとされているが、こ
の意見を求めた主治の医師等に対してケアプランを交付することを、
運営基準で明確化してはどうか。
・主治の医師等が適切な判断を行えるよう、訪問介護事業所等から
伝達を受けた口腔に関する問題や薬剤状況等の利用者の状態や、モ
ニタリング等の際にケアマネジャー自身が把握した利用者の状態等
について、ケアマネジャーから主治の医師等に必要な情報伝達を行
うことを運営基準で明確化することで、主治の医師等がケアプラン
に医療サービスを位置付ける必要性等を判断できるようにしてはど
うか。

また、末期がんの利用者については、状態変化に応じたケアプラ
ンの柔軟な変更を可能にする。「末期の悪性腫瘍と診断」「日常生活
上の障害が1カ月以内に出現すると主治医等が判断」を条件とし、
主治医の助言の下でサービス担当者会議を経ずにプランを変更でき
るようにすると提案された。しかし、委員からは、末期がんの利用
者の状態をケアマネジャーが確認することを疑問視する声など、運
用方法に対する指摘が相次いだと報じられている。

(参考2)末期の悪性腫瘍の利用者に対するケアマネジメント
(論点2)
○ 著しい状態変化を伴う末期の悪性腫瘍の利用者について、ターミ
ナル期におけるケアプランの変更回数等の実態を踏まえ、状態変化
に応じた迅速なサービス提供を促進するための対応を行ってはどう
か。

(対応案)
○ 著しい状態の変化を伴う末期の悪性腫瘍の利用者について、
・末期の悪性腫瘍と診断された場合であって、
・日常生活上の障害が1ヶ月以内に出現すると主治の医師等が判断
した場合については、状態変化に応じて迅速に必要なサービスを提
供するため、主治の医師等の助言を得ることを前提として、サービ
ス担当者会議の招集を不要とすること等によりケアマネジメントプ
ロセスを簡素化してはどうか。

○ また、末期の悪性腫瘍の利用者又はその家族の同意を得た上で、
ターミナル期に通常よりも頻回に利用者の状態変化をモニタリング
するとともに、モニタリングにより把握した利用者の心身の状況等
の情報を記録し、主治の医師等や居宅サービス事業者へ提供した場
合を新たに評価することとしてはどうか。

これまでの議論で施策の有効性を疑問視されていた、特定事業所
集中減算の見直し案も提示されている。具体的には対象から医療系
サービスを除外した上で、事業所が多いなどの理由から1)訪問介
護、2)通所介護、3)福祉用具貸与―に対象を絞る。この提案には、
多くの委員が賛意を示したと報じられている。結局2015年改定以前
の減算方式に一部見直しを行い、改正される形となった。

(参考3)公正中立なケアマネジメントの確保
(論点3)
○ 居宅介護支援事業者における利用者の立場に立った公正中立な
ケアマネジメントの確保に向けた対応を行ってはどうか。

(対応案)
○ 利用者との契約にあたり、居宅介護支援事業者から利用者やその
家族に説明する事項として、
・利用者はケアプランに位置付ける居宅サービス事業所について、
複数の事業所の紹介を求めることが可能であること
・当該事業所をケアプランに位置付けた理由を求めることが可能で
あること
を明確化するとともに、このような説明を行っていない事業所につ
いては、運営基準減算を適用させてはどうか。

○ 特定事業所集中減算については、必ずしも合理的で有効な施策で
はないとの指摘等を踏まえ、①請求事業所数の少ないサービスや、
②主治医の医師等の指示により利用するサービス提供事業所が決ま
る医療系サービスは特定事業所集中減算の対象サービスから除外し
てはどうか。なお、福祉用具貸与については、請求事業所数にかか
わらず、サービスを集中させることも可能であることから減算の対
象としてはどうか。
⇒具体的には、訪問介護、通所介護、福祉用具貸与を対象としては
どうか。

その他特定事業所加算の見直し評価と、訪問回数が多い利用者の
対応について地域ケア会議で検証を行うこと(2018年10月から実
施予定)についてもの論点と対応案が提示された。また管理者の要
件として主任ケアマネジャーであることを提案。2021年3月末まで
の経過措置も提示されている。

(参考4)質の高いケアマネジメントの推進
(論点4)
○ 質の高いケアマネジメントを推進する観点から、管理者の要件を
見直すとともに、地域における人材育成を行う事業所を評価しては
どうか。

(対応案)
○ 居宅介護支援事業所における人材育成の取組を促進するため、主
任ケアマネジャーが人材育成や業務管理の手法等を研修により修得
していることを踏まえ、主任ケアマネジャーであるこ
とを管理者の要件としてはどうか。また、その場合は一定の経過措
置期間を設けてはどうか。

○ 特定事業所加算について、他法人が運営する居宅介護支援事業所
への支援を行う事業所など、地域のケアマネジメント機能を向上さ
せる取組を評価してはどうか。

(参考5)訪問回数の多い利用者への対応
(論点5)
○ 一定の間隔を空ければ一日に複数回所定の報酬を算定可能な現
行の報酬体系は、必要以上のサービス提供を招きやすい構造的な課
題があるという指摘がある。

○ 一方で、訪問回数の多い利用者については、認知症、退院時、独
居・高齢者世帯等、必ずしも不適切なケースであるとは限らないこ
とに留意が必要。

○ これらを踏まえ、訪問回数の多い利用者への対応を検討してはど
うか。

(対応案)
○ 訪問回数の多いケアプランについては、利用者の自立支援・重度
化防止や地域資源の有効活用等の観点から、市町村が確認・是正を
促していくことが適当であり、ケアマネジャーが一定の回数を超え
る訪問介護を位置付ける場合には、市町村にケアプランを届け出る
こととし、届け出られたケアプランについて、市町村が地域ケア会
議の開催等により検証を行うこととしてはどうか。

○ 訪問介護(生活援助中心型)が通常のケアプランよりかけ離れた
利用となっていることや、保険者の事務負担を考慮して、具体的な
届出の範囲等は以下のとおりとしてはどうか。
【届出の範囲】
○ 訪問介護(生活援助中心型)の回数が、通常の利用状況と著しく
異なる(※)もの。
※ 要介護度別に「全国平均利用回数+2標準偏差(2SD)」を超
えるもの(4.3%~6.1%程度(全体で約2.4万件))
【届出後の対応】
○ 地域ケア会議の機能として、届け出られたケアプランの検証を位
置付ける。

○ 市町村は、ケアマネジャーに対し、利用者の自立支援・重度化防
止や地域資源の有効活用等の観点から、サービス内容の是正を促す。
※ 届出対象の範囲を平成30年4月に示した上で、6ヶ月の周知期
間を設けて10月から施行することとしてはどうか。

宮坂 佳紀(メディカル・テン代表/公益社団法人京都府介護支援専
門員会顧問)

▼△▼△▼△▼△▼△▼・発行人・▼△▼△▼△▼△▼△▼
公益社団法人 京都府介護支援専門員会・広報委員会
〒604-0874
京都市中京区竹屋町通烏丸東入る清水町375
京都府立総合社会福祉会館(ハートピア京都)7階
TEL :075-254-3970
FAX :075-254-3971
MAIL:info@kyotocm.jp URL:http://www.kyotocm.jp/
▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼

ページの先頭へ