099号 2017/09

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┏ 2017/09 ★ 通算099号 ★
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□■2017年9月29日配信 通算099号□■
CONTENTS――――――――――――――――――――――――――
_/_/_/シリーズ 30年同時改定をうらなう(9)
_/_/_/ケアマネジメントを外側から捉え直す
_/_/_/研修のご案内
_/_/_/ケアマネ・ポート55号を発行しました
_/_/_/ひとこと
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■シリーズ 30年同時改定をうらなう(9)■
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平成30年の医療・介護同時改定に向けての動きが活発になってきま
した。最新の情報のなかから、ケアマネジメントに関わりが深いも
のを厳選し、メディカル・テン代表の宮坂佳紀氏に連載していただ
きます。

◆◆介護サービスの質の評価や自立支援に向けた事業者へのインセ
ンティブ評価はどうなる?◆◆

2018年度介護報酬改定に向け、8月23日に開催された社会保障審
議会の介護給付費分科会(分科会)は、介護サービスの質の評価や
自立支援に向けた事業者へのインセンティブなどをテーマに議論し
た。
自立支援に向けた事業者へのインセンティブについては、6月9
日に閣議決定された未来投資戦略2017に「次期介護報酬改定におい
て、効果のある自立支援について評価を行う」と記載された。同じ
く6月9日に閣議決定された骨太の方針2017でも、介護サービス事
業者に対するインセンティブ付与のため、アウトカムなどに応じた
介護報酬のめりはり付けを検討し、18年度介護報酬改定で対応する
ことが明記されている。
厚生労働省は1)「自立」の概念、2)プロセスやアウトカムなど
の観点から考える個別サービス事業所・サービスの質の評価、3)事
業者へのインセンティブ付与の方法―を論点に挙げた。 議論では、
多くの委員がアウトカム評価により利用者の選別が起こる可能性を
指摘した。保険者側委員は「プロセスに対する評価を組み合わせて
バランスよく評価すべき」と主張。サービス提供側委員は、介護に
おける質の評価の難しさに言及した上で、エビデンスの重要性を強
調した。
同日の分科会では介護職員処遇改善加算など介護人材確保対策に
ついても議論した。

◆(参考1)介護人材確保対策(論点)◆
○ 介護人材の安定的な確保のため、総合的な取組が進められている
中、介護職員処遇改善加算のあり方について、どのように考えるか。
・特に、介護職員処遇改善加算(Ⅳ)及び(Ⅴ)については、要件
の一部を満たさない事業者に対し、減算された単位数での加算の取
得を認める区分であるが、当該区分の取得率や報酬体系の簡素化の
観点を踏まえ、そのあり方についてどのように考えるか。
・また、対象費用や対象職員の範囲を含む介護職員処遇改善加算の
あり方については、平成29年度介護報酬改定に関する審議報告を踏
まえ、介護従事者処遇状況等調査により、月額1万円相当の処遇改
善による実際の賃金改善効果を適切に把握した上で、引き続き検討
していくこととしてはどうか。

○ 介護ロボットについて、その活用による評価をどのように考える
か。

介護職員処遇改善加算については、さまざまな意見が交わされた。
保険者側委員が「あくまでも経過措置」として廃止を求めた一方、
別の保険者側委員は、加算という仕組みにより赤字事業所も人材流
出を防げたと主張し、廃止に反対した。
介護ロボットに関しては、活用に前向きな意見が相次いだ。ただ
し、安全性への配慮を求める声や、人員基準の緩和などの評価につ
いて「時期尚早」との指摘もあった。

厚労省は、この日の分科会に訪問系サービスにおける集合住宅に
関する減算と区分支給限度基準額の関係についても論点として提示。
現状では、減算後の単位数で区分支給限度基準額の算定をしている
ため、通常より多くの介護サービスを利用できる状況となっている。
委員らは、利用者の公平性の観点などから、減算前の単位数で計算
すべきとの意見でおおむね一致した。

◆(参考2)区分支給限度基準額◆
現状・課題
訪問系サービスにおける集合住宅に係る減算と区分支給限度基準額
の関係
○ 訪問系サービスについては、事業所と同一敷地内又は隣接する敷
地内の建物(養護老人ホーム、軽費老人ホーム、有料老人ホーム、
サービス付き高齢者向け住宅)等に居住する利用者に対して訪問す
る場合に、報酬を一定程度減算する仕組みが存在する。

○ 一方、区分支給限度基準額に係る費用の算定に際しては減算後の
単位数により判定されることから、集合住宅に係る減算が適用され
る者が、減算が適用されない者よりも多くの介護サービスを利用で
きる現状となっている。

論点
○ 区分支給限度基準額の現状等を踏まえ、そのあり方や適用対象外
となる加算等についてどのように考えるか。特に、訪問系サービス
について、集合住宅に係る減算の適用を受けている者と当該減算を
受けていない者との公平性の観点から、当該減算と区分支給限度基
準額との関係についてどのように考えるか。

9月6日に開催された分科会は、関係団体からヒアリングを実施
した。全国デイ・ケア協会は、通所リハビリテーションにおけるリ
ハビリ専門職の配置充実を求めたほか、従来型(6~8時間)の必要
性を訴えた。同会が示した資料によると、通所リハビリ利用者の日
常生活自立度は、通所介護利用者(12.4%)の2倍以上となる26.6%
が向上していた。その要因について、現行のリハビリ専門職配置基
準(100対1)を上回る25対1以上の配置をしている事業所が、全
体の8割以上に上っている実態を説明。
さらに、過去の分科会における議論で必要性を疑問視する意見も
あった長時間のリハビリ提供についても言及。従来型(6~8時間)
の利用者は、短時間型(1~2時間)の利用者と比べて85歳以上の
割合が高く、要介護3以上の重度者が多いなどの実態を示し「口腔
機能向上や医学的処置を提供している割合が高い」とした。また、
結果として家族の負担を軽減するレスパイトの機能も果たせている
点も主張した。

◆(参考3)通所リハビリテーションに関する要望◆
□通所リハは適切なアセスメントによるリハビリテーションマネジ
メントにより、利用者の能力向上に効果がありました。リハビリテ
ーションマネジメントには、多職種協働や多事業所間の連携が重要
であり、充実したリハ専門職の配置が必要と考えます。(100対1か
ら25対1へ)

□従来型(6-8時間)の利用者は、中重度者の在宅生活を支える医
療的ケア、家族の身体的な介護負担の軽減などを求めています。こ
のような多様なニーズに合わせ、短時間型のみでなく従来型(6-8
時間)も必要であると考えます。

日本訪問リハビリテーション協会は、訪問リハビリにおける医師
の関与の難しさを指摘。リハビリマネジメント加算Ⅱの届け出が
14.1%にとどまっている現状がある一方、医師の指示があった場合
の方がADLの向上が見られることを踏まえ、ICTの活用を含め医師
の関与を後押しする仕組みや、加算要件の変更などの検討を求めた。
ICTの活用に対しては、複数の委員が賛意を示している。

◆(参考4)リハマネジメントに係る医師の関与についての課題◆
□H27年度老健事業(訪問リハビリテーションの適切な実施に関す
る調査研究事業)においても同様の結果が得られているが、リハマ
ネジメントの効果についてその必要性の周知と実施について推進し
てきたところである。

□現場では医師のリハ会議(リハ計画書作成)に出席や、本人への
説明がなされるよう、訪問リハスタッフ自身で時間設定の努力を重
ねて会議開催を設定している現状があるが、加算算定の届け出数か
らも分かるように、医師の関わりは少ないのが現状である。

□リハマネジメントの実施において、医師の積極的な関与を望みた
いところであり、実施率を向上させるための仕組み・リハマネジメ
ント加算要件の変更などを含め総合的に、ご検討をお願いしたい。

理学療法士会などは通所介護事業所における理学療法士などの個
別機能訓練に対する評価について以下の要望をとりまとめている。

◆(参考5)自立支援の機能を強化した通所介護事業所の評価に関
する提案◆
(提案)
通所介護事業所において理学療法士等を配置し、「自立支援の機能を
強化」する目的で、以下の取り組みを実施した場合に、介護報酬上
の評価をしていただきたい

通所介護事業所に配置された理学療法士、作業療法士又は言語聴覚
士が
① 個別に機能訓練を実施することを評価(ストラクチャー評価)
② 主治医と連携し、自立支援マネジメントを実施することを評価
(プロセス評価)
③ 短期間集中的に個別機能訓練を実施することを評価(アウトプッ
ト評価)
④ 利用者の社会参加等を支援することを評価(アウトカム評価)
⑤ 通所介護費における要介護認定に改善がみられた場合の評価(ア
ウトカム評価)

(現状)
〇リハビリテーション特化型を標榜している通所介護事業所は約
15%あるが、実際に理学療法士等を配置している事業所は3%程
度である。
〇理学療法士等が配置されていない事業所は、リハビリテーション
特化型を標榜していても、日常生活自立度の改善は低い。

宮坂 佳紀(メディカル・テン代表/公益社団法人京都府介護支援専
門員会顧問)

■ケアマネジメントを外側から捉え直す■
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今年の4月より、居宅介護支援事業所の主任介護支援専門員から、
訪問介護事業所のサービス提供責任者へ配置転換となった。今まで
は自身がケアマネジメントの実践者であったが、現在は今まで交流
のなかった介護支援専門員と協働し、サービス提供事業所の立場で
ケアマネジメントを見つめることで、たくさんの学びを得ている。
当たり前の話であるが、訪問介護の初回面接までに、担当介護支援
専門員が作成したアセスメントシート等を情報提供してもらってい
るととても助かるが、そうでない場合もある。
また、利用者の状態によって仕方のないことであるが、即サービス
を開始するといった調整よりも、事業所側の都合を少しでも反映す
る調整をしてもらったり、緊急時にも一緒に汗をかいてもらえると、
こんなに嬉しいことはない。
日々丁寧に対応してもらえる介護支援専門員には、「この人が頑張っ
ているのだから、私たちも頑張らないといけない。」と、思わせるも
のだと実感している。このあたりのことは法定研修では触れられな
い部分だと思うが、自身もサービス提供事業所と丁寧なやりとりを
実践できていたか振り返り、反省しなければいけない。
訪問介護は次期改正にむけて、生活援助中心型の人員基準・報酬引
き下げや混合介護の問題が議論されており、さらには日常生活支援
総合事業の本格実施など、大きな動きの中にある。この中で利用者
が制度に振り回されて混乱しないよう、私たち専門家がしっかり連
携していかなければならないと感じている。

(理事 中吉 克則)

■研修のご案内■
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◎【企画研修】ケアマネジャーができる災害への備え~災害机上訓
練で地域を見渡す~
日 時:平成29年10月12日(木)18:30~20:30
場 所:中丹勤労者福祉会館 2階中会議室(福知山市昭和新町105
番地)
講 師:公益社団法人京都府介護支援専門員会 災害対策委員会
※6月2日にハートピア京都で開催した研修と同じ研修です。
★災害に関する基礎知識や災害対応におけるケアマネジャーの役
割などを「机上訓練」しながら学びます。
詳細はこちら↓↓↓
http://www.kyotocm.jp/wordpress/wp-content/uploads/2017/08/kikaku05-2_291012.pdf

◎【特別企画研修】≪会員限定≫認知症の人とその家族へのアセス
メント
日 時:平成29年10月24日(火)18:30~20:30
場 所:ハートピア京都 3階大会議室(京都市中京区清水町375)
講 師:北野 太朗 氏(公益社団法人京都府介護支援専門員会理事)
★もの忘れがあっても、充実感をいだき安心して暮らすことができ
る支援計画の作成や必要なサービス調整を行うため、できなくなっ
たことだけではなく残っている能力をどのように活かしていただ
くか日常の訪問のなかでもできるアセスメントなどを学びます。
詳細はこちら↓↓↓
http://www.kyotocm.jp/wordpress/wp-content/uploads/2017/08/kikaku20_291024.pdf

◎【研究大会】第6回京都府介護支援専門員研究大会「ケアマネジャ
ーの存在意義を問う~連携の要であるために~」
日 時:平成29年10月28日(土)10:30 ~16:30
場 所:メルパルク京都(京都市下京区)
★好評につき会場を拡大し定員枠を追加いたしました!参加申込締
切は平成29年10月10日(火)です。
詳細は当会ホームページ「研修情報」をご覧ください↓↓↓
http://www.kyotocm.jp/download/page/2/

◎【府民公開講座】公益社団法人京都府介護支援専門員会 平成29
年度府民公開講座
日 時:平成29年11月11日(土)13:30~16:30
場 所:ハートピア京都 3階大会議室(京都市中京区清水町375)
【第1部】講演:「高齢者の住まいの基礎知識と選び方」
講師:濱田 孝一氏(高住経ネット主幹)
【第2部】ライブ:~あなただけに出来る事~出演:ふらっと♭
★前半は高齢者の住まいの選び方についてのためになるお話、後半
は心に溶け込むハーモニーをお楽しみいただきます。参加費は無料
です。府民の皆様向けの講座ですので、ぜひ利用者様やご家族にも
ご紹介ください。詳細とお申し込み方法は10月初旬、当会ホームペ
ージでご案内いたします。

◎一般社団法人日本介護支援専門員協会第17回近畿ブロック研究大
会in滋賀
大会日時:平成30年3月17日(土)・18日(日)
会場:滋賀県立文化産業交流会館米原公民館
テーマ:暮らし・人・地域をつなぐケアマネジメント~多職種連携
の視点から介護支援専門員の役割を考える~
※申込書ダウンロード及び詳細については、ケアマネ・ポート55号
に同封しております大会要項をご参照ください。(WEBでは10月2日
(月)よりお申し込み可能です)
大会ホームページ↓↓↓
https://conv.toptour.co.jp/shop/evt/shiga-caremanet2018/

■ケアマネ・ポート55号を発行しました■
会報「ケアマネ・ポート55号」を発行しました。会員の皆様には9
月19日(火)より順次発送しております。
◆平成29年3月16日(木)から平成29年8月10日(木)までに平成29
年度会費を納入していただいた会員様に会員証を同封しております。
◆会費の口座振替の手続きがお済みでない会員様に「預金口座振替
依頼書」を同封しております。11月末日までにご返送願います。

■ひとこと■
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突然体調を崩した。午前中まで元気だったのに、午後いきなり熱が
38度を超えた。頭、関節、喉の痛み、熱の高さからインフルエンザ
が疑われた。インテークと課題整理総括表の段階:問診表に記載し
受診する。自立阻害の直接的な要因は、この場合は熱が高い、頭が
痛い、などの項目になろう。アセスメント:インフルエンザの検査
キットを用いて検査。ウィルス検出されず。次いで血液検査。アセ
スメント結果として、白血球数の増加と炎症反応。ケアプラン原案
作成段階:インフルエンザ以外のウィルスに感染と診断。抗生剤の
点滴と飲み薬の治療方針が立案される。サービス担当者会議の段
階:医師から抗生剤の種類、治療期間の目安の説明。医療機関の役
割は治療の遂行。私の役割は予定通り通院し、治療を受け、負担割
合分を支払うこと。サービス提供段階:治療開始。点滴治療と薬を
受ける。と、ケアプラン作成プロセスに則って整理してみた。私た
ちが行っている業務は汎用性が高いことが理解できた。後は質。ど
れだけきちんと相手と向かい合えているか、ということだろう。季
節の変わり目。皆様もご自愛くださいませ。

(広報委員 佐藤 弓子)

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京都市中京区竹屋町通烏丸東入る清水町375
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FAX :075-254-3971
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