163号 2021/01

ケアマネメールニュース(2021年1月号)

「ケアマネジャーとして知っておきたい今月の医療と介護の情報(MCIメディケアインフォメーション)」
2021
年4月介護報酬改定を控えて(8「出揃った2021年度介護報酬項目――居宅介護支援と主な訪問・通所系サービスの改定概要」

  1月18日に開催された社会保障審議会介護給付費分科会は、個別サービスの報酬単価を含む2021年度介護報酬改定案を了承。同日、厚生労働大臣からの諮問を受け、答申された。正式告示は、パブリックコメントを経て関係通知と合わせて交付される予定だ。

基本報酬の多くは、新型コロナ感染症の影響で引上げられた。ただし、訪問看護ステーションからの理学療法士等による訪問サービス費や軽度要介護者の短期入所療養介護費、介護療養型医療施設などの報酬は引き下げられている。とりわけ2023年度末に廃止期限を迎える介護療養型医療施設については、一定期間ごとに移行等に係る検討の状況について指定権者に報告を求め、期限までに報告されない場合には、移行計画未提出減算(10%/日減算)も新設されている。

また、新型コロナのかかり増し経費対応では、2021年9月末までの時限的な措置として全ての基本報酬に0.1%上乗せ加算も新設。通所介護、地域密着型通所介護や通所リハビリテーション、認知症対応型通所介護の通所系サービスでは、感染症や災害の影響により利用者数が減少した場合に、状況に即した安定的なサービス提供を可能とする観点から、特例措置を設定。
(1)規模区分変更の特例=大規模型について、事業所規模別の報酬区分の決定にあたり、前年度の平均延べ利用者数ではなく、延べ利用者数の減が生じた月の実績を基礎とすることができる。(利用者減がある場合、前年度の平均延べ利用者数ではなく、利用者減の月の実績を基礎とし、ア)大規模型Ⅰは通常規模型、イ)大規模型Ⅱは大規模型Ⅰ又は通常規模型を算定可能)。
(2)同一規模区分内で減少した場合の加算=通常規模型などでは延べ利用者数の減が生じた月の実績が、前年度の平均延べ利用者数から5%以上減少している場合、3か月間、基本報酬の「3%加算」も新設。

(1)(2)とも利用者減の翌月に届出、翌々月から適用。利用者数の実績が前年度平均等に戻った場合は、その翌月に届出、翌々月まで。さらに、利用者減に対応するための経営改善に時間を要するその他の特別の事情があると認められる場合は「一回の延長(3月間)」を認める。(1)と(2)両方に該当する場合は、(1)が適用される。なお、(2)の加算分は区分支給限度基準額の算定に含めない。

居宅介護支援、予防介護支援費とも引上げ――特定事業所加算も引上げ、通院時情報連携加算50単位も新設

居宅介護支援費は(Ⅰ)従来どおりケアマネジャー1人当たりの取扱件数が40未満の場合と居宅介護支援費(Ⅱ)(新設)ケアマネジャー1人当たりの取扱件数が45未満である場合(一定の情報通信機器(人工知能関連技術を活用したものを含む)の活用又は事務職員の配置を行っている事業所)に区分された。事務職員の常勤・非常勤、勤務時間などの詳細は通知待ちとなっている。(Ⅱ)の場合、逓減制の適用が40件以上から45件以上に緩和される。なお、逓減制におけるケアマネジャー1人当たりの取扱件数の計算に当たり、現在、事業所が自然災害や感染症等による突発的な対応で利用者を受け入れた場合は、例外的に件数に含めないこととしているが、地域の実情を踏まえ、事業所がその周辺の中山間地域等の事業所の存在状況からやむを得ず利用者を受け入れた場合についても、例外的に件数に含めないことになった。

居宅介護支援費(Ⅰ)(1月につき)(居宅介護支援費(Ⅱ)算定していない事業所)
○居宅介護支援(ⅰ)
・ケアマネジャー1人当たりの取扱件数が40未満である場合又は40以上である場合において、40未満の部分

  要介護1・2 1,057単位→1,076単位
  要介護3・4・5 1,373単位→1,398単位

○居宅介護支援(ⅱ)
・ケアマネジャー1人当たりの取扱件数が40以上である場合において、40以上60未満の部分

  要介護1・2 529単位→539単位
  要介護3・4・5 686単位→698単位

○居宅介護支援(ⅲ)
・ケアマネジャー1人当たりの取扱件数が40以上である場合において、60以上の部分

  要介護1・2 317単位→323単位
  要介護3・4・5 411単位→418単位

居宅介護支援費(Ⅱ)【新区分】◆(1月につき)
○居宅介護支援(ⅰ)
・ケアマネジャー1人当たりの取扱件数が45未満である場合又は45以上である場合において、45未満の部分

  要介護1・2 1,076単位
  要介護3・4・5 1,398単位

○居宅介護支援(ⅱ)
・ケアマネジャー1人当たりの取扱件数が45以上である場合において、45以上60未満の部分

  要介護1・2 522単位
  要介護3・4・5 677単位

○居宅介護支援(ⅲ)
・ケアマネジャー1人当たりの取扱件数が45以上である場合において、60以上の部分

  要介護1・2 313単位
  要介護3・4・5 406単位

特定事業所加算は以下のとおり(Ⅰ)~(Ⅲ)の報酬引上げ。(A)が新設(100単位)。(A)の算定要件はケアマネジャーの配置:常勤1名以上、非常勤1名以上(非常勤は他事業との兼務可)(非常勤の常勤換算数などは通知待ち)。連絡体制・相談体制確保、研修実施、実務研修への協力、事例検討会等実施などは他の事業所との連携による対応でも可。なお、加算Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Aの要件として、必要に応じて、多様な主体等が提供する生活支援のサービス(インフォーマルサービスを含む)が包括的に提供されるような「居宅サービス計画(ケアプラン)」を作成していることが追加された。

特定事業所加算(1月につき)
特定事業所加算(Ⅰ)500単位→505単位
特定事業所加算(Ⅱ)400単位→407単位
特定事業所加算(Ⅲ)300単位→309単位
特定事業所加算(A)【新設】100単位

特定事業所加算(Ⅳ)は「特定事業所医療介護連携加算(125単位)」と名称変更。特定事業所加算の算定している場合に限り算定可の要件が撤廃されている。

新設された「通院時情報連携加算」50単位は、利用者1人につき、1月に1回限り算定可。算定要件は「利用者が医師の診察を受ける際に同席し、医師等に利用者の心身の状況や生活環境等の必要な情報提供を行い、医師等から利用者に関する必要な情報提供を受けた上で、ケアプランに記録した場合」となった。

予防介護支援費も431単位から438単位に引上げ。併せて地域包括支援センターが委託する個々のケアプランについて、居宅介護支援事業者との情報連携等を新たに評価した「委託連携加算」(300単位)が新設。利用者1人につき居宅介護支援事業所に委託する「初回」に限り、算定可能だ。なお、加算を算定した際には、介護予防支援事業所に対して、当該加算を勘案した委託費の設定等を行うことも要件となっている。

その他サービス利用の実績がない場合「請求不可」となっていた居宅介護支援費は、看取り期に限り算定可。事例として居宅サービス等の利用に向けケアマネジャーが、利用者の退院時等にケアマネジメント業務を行ったものの、利用者の死亡によりサービス利用に至らなかった場合でも算定可。ただし1)モニタリング等の必要なケアマネジメント業務を行い、給付管理票の(原案の)作成など、請求にあたって必要な書類の整備を行っている。2)居宅介護支援費を算定した旨を適切に説明できるよう、個々のケアプラン等において記録で残しつつ、居宅介護支援事業所において、それらの書類等を管理しておく、ことが要件となる。

その他(看護)小規模多機能型居宅介護事業所連携加算は、算定実績を踏まえ廃止された。

介護分野のデータベース「CHASE」「VISIT」の評価――データ提出加算は科学的介護情報システム「LIFE」に名称を統一

介護分野のデータベース「CHASE」「VISIT」を2021年度から一体的に運用するに当たり、科学的介護情報システム「LIFE(Long-term care Information system For Evidence;ライフ)」に名称統一される。介護療養型医療施設を除く施設系、通所系、多機能系、居住系の事業所単位でのデータ活用の取り組みを評価する加算も新設される。事業所の全ての利用者に係るデータ(ADL、栄養、口腔・嚥下、認知症等)をCHASEに提出してフィードバックを受け、事業所単位でのPDCAサイクル・ケアの質の向上の取組を推進することを評価するもの。施設系サービスの報酬では、科学的介護推進体制加算(Ⅰ) 40単位/月、(Ⅱ) 60単位/月が新設(加算(Ⅱ)は、服薬情報の提供を求めない特養・地密特養では、50単位/月)。(Ⅰ)は心身の状況等、(Ⅱ)は心身の状況等に加えて疾病状況等のデータ提出が必要。併せてサービスの提供に当たって、提出情報その他サービスを適切かつ有効に提供するために必要な情報を、介護計画等の作成に活用することが要件だ。通所系・多機能系・居住系サービスでは「科学的介護推進体制加算40単位/月」が新設される。

CHASEへのデータ提出とフィードバックの活用という「データ提出」を要件化するのは、科学的介護推進体制加算以外にも、通所・訪問リハビリテーションのリハビリテーションマネジメント加算や通所介護のADL維持等加算、個別機能訓練加算(Ⅱ)等にも適用されるので留意が必要だ。

その他介護療養型医療施設を除く介護保険施設では「自立支援促進加算300単位/月」が新設される。医師が入所時に自立支援のために特に必要な医学的評価(医学的アセスメント・リハビリテーション・機能訓練の必要性・日々の過ごし方(離床時間、座位保持時間、食事・排せつ・入浴の場所や方法、社会参加的活動等)を行い、6月に1回見直し、自立支援計画等の策定等に参加。医師、看護師、介護職員、ケアマネジャー、その他の職種の者が共同して自立支援計画を策定し、支援計画に従ったケアを実施。少なくとも3月に1回、入所者ごとに支援計画を見直しする。そのうえで医学的評価の結果等の情報を厚生労働省に提出し、情報その他自立支援促進の適切かつ有効な実施のために必要な情報を活用することが要件。この加算もCHASEへのデータ提出とフィードバックの活用を評価したもの。

訪問系サービスの改定概要――訪問リハビリテーションの評価と適正化

訪問介護費の基本報酬は、身体介護の1時間以上1時間30分未満が2単位、その他の身体介護や生活援助、通院等乗降介護の基本報酬が1単位引上げ。特定事業所加算(Ⅰ)から(Ⅳ)は据置、(Ⅴ)3%加算が新設。(Ⅴ)の体制要件は(Ⅰ)から(Ⅲ)と同様。訪問介護員総数のうち勤続7年以上の割合30%以上が人材要件となる。なお、(Ⅲ)(重度者対応要件の加算)とは併算定可。その他の加算とは併算定不可。認知症専門ケア加算(Ⅰ)3単位/日と(Ⅱ)4単位/日も新設評価された。算定要件は介護保険施設等の既往要件と同様。看取り期に限って2時間未満ルールの取り扱いも正式に決定した。

(予防)訪問看護費の基本報酬も30分未満は1単位、30分以上1時間未満は2単位、1時間以上1時間30分未満では3単位引上げ。ただし訪問看護ステーションからの理学療法士等の訪問は、1回当り4単位引き下げられている。加えて1日3回以上の減算が90/100から50/100に適正化された。理学療法士等の予防訪問看護も利用開始月から12月超の場合、1回5単位減算も新設されている。

看護体制強化加算(1月につき)は、算定要件である「特別管理加算」算定利用者率30%から20%に緩和されたものの、報酬引下げ。加算(Ⅰ)600単位⇒550単位、加算(Ⅱ)300単位⇒200単位、予防の場合300単位⇒100単位となった。

医療機関や医療系介護保険施設、退院(退所)日の訪問看護の取り扱いも厚生労働大臣が認める患者以外でも、主治医が認めた場合算定可能であることも正式に決まっている。

(予防)訪問リハビリテーションは、1回292単位から307単位に引き上げられた。ただし、リハビリテーションマネジメント加算(Ⅰ)(230単位)が基本報酬に包括(リハビリテーション計画書の作成の説明などが算定要件となった)されたことで、実質マイナス改定となりえる。リハビリテーションマネジメント加算(Ⅱ)280単位、(Ⅲ)320単位、(Ⅳ)420単位から、(Ⅱ)はリハビリテーションマネジメント加算(A)イ)180単位、ロ)213単位、(Ⅲ)は(B)イ)450単位、(Ⅳ)はロ)483単位に見直し。加算(A)イ)は現行の(Ⅱ)と同様、ロ)は厚生労働省へのデータ提出が要件となる。(B)イ)は現行の(Ⅲ)、ロ)は現行(Ⅳ)と同一要件となる。したがって、(A)イ)以外はデータ提出と利活用が算定要件となり、実質引下げとも言える。その他適正化策としては、事業所医師診察未実施減算が1回20単位から50単位に引上げ。予防訪問リハビリテーションも利用開始月から12月超の場合1回5単位減算が新設されている。なお、退院・退所直後の3月間は週6回の上限が緩和され、週12回まで算定可能となった。

(予防)居宅療養管理指導の基本報酬は同一建物1人(医師の場合で在宅時医学総合管理料等算定の場合)3単位が、2人~9人(同)1単位引上げ、10人以上(同)2単位が引下げとなった。他歯科医師や薬剤師、管理栄養士、歯科衛生士が行う場合も同様の評価だ。なお、診療報酬と同様に他医療機関等からの管理栄養士が実施する居宅療養管理指導費も新設された。

通所リハビリテーションも予防の長期利用が適正化――通所介護はADL維持等加算が大幅増

 通所リハビリテーションの基本報酬は通常規模、大規模ともサービス提供時間に関わらず引上げられた。(例)要介護3、通常規模型の場合

<現行>                                  <改定後>
1時間以上2時間未満390単位/回   426単位/回
2時間以上3時間未満457単位/回   494単位/回
3時間以上4時間未満599単位/回   638単位/回
4時間以上5時間未満684単位/回   725単位/回
5時間以上6時間未満803単位/回   846単位/回
6時間以上7時間未満929単位/回   974単位/回
7時間以上8時間未満993単位/回  1,039単位/回

予防も要支援1が1,721単位/月から2,053単位/月、要支援2は3,634単位/月から3,999単位/月に引上げられた。ただし、訪問リハビリテーションと同じくリハビリテーションマネジメント加算(Ⅰ)1月330単位が基本報酬に包括されている。改定前と改定後のリハビリテーションマネジメント加算の新旧比較は以下のとおり。

加算(Ⅱ) 加算(A)イ
同意日の属する月から6月以内 850単位/月 560単位/月
同意日の属する月から6月超 530単位/月 240単位/月
加算(A)ロ(新設)
同意日の属する月から6月以内 850単位/月 593単位/月
同意日の属する月から6月超 530単位/月 273単位/月
加算(Ⅲ) 加算(B)イ
同意日の属する月から6月以内 1,120単位/月 830単位/月
同意日の属する月から6月超 800単位/月 510単位/月
加算(B)ロ
同意日の属する月から6月以内 1,120単位/月 863単位/月
同意日の属する月から6月超 800単位/月 543単位/月
リハビリテーションマネジメント加算(Ⅳ) 加算(B)ロに組み替え)
同意日の属する月から6月以内 1,220単位/月 863単位/月
同意日の属する月から6月超 900単位/月 543単位/月

 

取り扱いは訪問リハビリテーションのリハビリテーションマネジメント加算と同様。

また、予防通所リハビリテーションも利用開始月から12月超になると要支援1で20単位/月、要支援2で40単位/月減算の適正化と取り入れられる。

訪問・通所リハビリテーションの社会支援加算は「移行支援加算」に名称変更。報酬は17単位/日、12単位/日と据置。訪問リハビリテーションの移行支援加算の要件は見直しされないが、通所リハビリテーションの移行支援加算は、通所リハビリテーションから通所介護等に移行した利用者率が5%から3%に緩和される。回転率も25%から27%に見直しされる。

生活行為向上リハビリテーション実施加算も3月以内と3月~6月以内の2区分から6月以内に1本化。3月以内2,000単位/月、3月~6月以内1,000単位/月を6月以内1,250単位に、加算算定後の継続した場合の15/100減算も廃止。通所リハビリテーション卒業利用者向けの加算の算定要件が緩和された。予防通所リハビリテーションも同様の見直しがある。

入浴介助加算50単位/日は加算(Ⅰ)40単位/日と加算(Ⅱ)60単位/日に細分化。(Ⅰ)と(Ⅱ)は併算定不可。(Ⅰ)は従前の入浴介助加算と同じ算定要件で実質引下げ。代わって(Ⅱ)は入浴介助に加えて、①医師・理学療法士・作業療法士・ケアマネジャー等(「医師等」)が利用者の居宅を訪問し、浴室における利用者の動作及び浴室の環境を評価している。この際、利用者の居宅の浴室が、利用者自身又は家族等の介助により入浴を行うことが難しい環境にある場合は、訪問した医師等が、ケアマネジャー・福祉用具専門相談員と連携し、福祉用具の貸与・購入・住宅改修等の浴室の環境整備に係る助言を行う。②事業所の理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士が、医師との連携の下で、利用者の身体の状況や訪問により把握した利用者の居宅の浴室の環境等を踏まえた個別の入浴計画を作成する。③入浴計画に基づき、個浴その他の利用者の居宅の状況に近い環境にて、入浴介助を行うこと、が要件として提示されている。

通所介護の基本報酬もサービス提供時間や要介護度に関わらず引上げられた。通常規模型通所介護6~7時間では、要介護1=575単位⇒581単位、要介護2=679単位⇒686単位、要介護3=784単位⇒792単位、要介護4=888単位⇒897単位、要介護5=993単位⇒1,003単位。地域密着型通所介護6~7時間では、要介護1=666単位⇒676単位、要介護2=786単位⇒798単位、要介護3=908単位⇒922単位、要介護4=1,029単位⇒1,045単位、要介護5=1,150単位⇒1,168単位。

入浴介助加算は通所リハビリテーションと同じく50単位から加算(Ⅰ)40単位、加算(Ⅱ)55単位に細分化。加算(Ⅱ)の要件は通所リハビリテーションと原則同じであるが、要件のうち①の訪問職種の医師等に「介護福祉士」も含まれること、②の個別入浴計画作成者が機能訓練指導員等となっていることが特記できる。

個別機能訓練加算は従来の個別機能訓練加算(Ⅰ)と個別機能訓練加算(Ⅱ)を統合し、人員配置基準等算定要件の見直しがあった。とりわけ地域密着型通所介護では算定要件緩和により算定事例が増加するだろう。個別機能訓練加算(Ⅰ)46単位/日、個別機能訓練加算(Ⅱ) 56単位/日から個別機能訓練加算(Ⅰ)イ56単位/日、ロ85単位/日。イとロは併算定不可のため改定前の加算(Ⅰ)(Ⅱ)を併算定していた事業所は、訓練実施者の見直しも踏まえてみるとマイナスは改定となりうる。個別機能訓練加算(Ⅱ)20単位/月が新設。加算(Ⅰ)に上乗せして算定できる。加算(Ⅱ)はデータ提出(個別機能訓練計画等の内容を厚生労働省に提出し、フィードバッグを受けていること(CHASEへのデータ提出とフィードバッグの活用))が要件となる。

加算(Ⅰ)イは機能訓練指導員を専従1名以上配置するも配置時間の定めなし。またイは運営基準上配置を求めている機能訓練指導員により満たすこととして差し支えない。これは大きな緩和だろう。(Ⅰ)ロでは専従1名以上配置(サービス提供時間帯通じて配置)。ロはイに加えて専従で1名以上配置する。なお、訓練の実施者はイ、ロとも機能訓練指導員が直接実施(介護職員等が訓練の補助を行うことは妨げない)となっている。

ADL維持等加算も緩和策とデータ提出を促すことで、加算(Ⅰ)3単位/月、加算(Ⅱ)6単位/月から、加算(Ⅰ)30単位/月、(Ⅱ)60単位/月と評価が10倍となった((Ⅰ)(Ⅱ)は併算定不可)。ADL維持等加算は通所介護に加えて、認知症対応型通所介護、特定施設入居者生活介護、地域密着型特定施設入居者生活介護、介護老人福祉施設、地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護も算定可能となる。

通所介護では従前の利用者数や要介護度の要件などが緩和され、地域密着型通所介護でも算定可能となるよう要件が以下のとおり見直しされている。

<ADL維持等加算(Ⅰ)>算定要件

イ 利用者等(当該事業所等の評価対象利用期間が6月を超える者)の総数が10人以上。

ロ 利用者等全員について、利用開始月と、当該月の翌月から起算して6月目(6月目にサービスの利用がない場合はサービスの利用があった最終月)において、Barthel Indexを適切に評価できる者がADL値を測定し、測定した日が属する月ごとに厚生労働省に提出。

ハ 利用開始月の翌月から起算して6月目の月に測定したADL値から利用開始月に測定したADL値を控除し、初月のADL値や要介護認定の状況等に応じた値を加えて得た値(調整済ADL利得)について、利用者等から調整済ADL利得の上位及び下位それぞれ1割の者を除いた者を評価対象利用者等とする。評価対象利用者等の調整済ADL利得を、平均して得た値が「1」以上。また、リハビリテーションサービスを併用している者は、加算取得事業者がリハビリテーションサービスの提供事業者と連携して機能訓練を実施している場合に限り、調整済ADL利得の計算の対象にする。

<ADL維持等加算(Ⅱ)>算定要件
○ADL維持等加算(Ⅰ)のイとロの要件を満たす。
○評価対象利用者等の調整済ADL利得を平均して得た値が「2」以上。
編著者注=介護老人福祉施設、地域密着型介護老人福祉施設、特定施設入居者生活介護、地域密着型特定施設入居者生活介護において、利用者の調整済ADL利得を算出する場合は、さらに一定の値を付加すされる見込み。

評価対象期間満了日の月の翌月から12月間(改定前は満了日の年度の次の年度)算定可。

その他通所系サービス共通の加算である栄養改善加算150単位/月から200単位/月に引き上げられる。算定要件として必要に応じ居宅を訪問することが追加されている。栄養アセスメント加算50単位/月も新設。口腔・栄養スクリーニング加算(Ⅰ)及び栄養改善加算との併算定不可となっている。

新設の栄養アセスメント加算の算定要件は、

①当該事業所の従業者として又は外部(※)との連携により管理栄養士を1名以上配置。※他の介護事業所、医療機関、介護保険施設、日本栄養士会や都道府県栄養士会が設置・運営する「栄養ケア・ステーション」。ただし、介護保険施設は、常勤で1以上又は栄養マネジメント強化加算の算定要件の数を超えて管理栄養士を配置している施設に限る。
②利用者ごとに、管理栄養士、看護職員、介護職員、生活相談員その他の職種の者が共同して栄養アセスメントを実施し、利用者又はその家族に対してその結果を説明し、相談等に必要に応じ対応する。
③利用者ごとの栄養状態等の情報を厚生労働省に提出し、栄養管理の実施に当たって、当該情報その他栄養管理の適切かつ有効な実施のために必要な情報を活用している、ことが要件。

また現行の栄養スクリーニング加算5単位/回は、口腔・栄養スクリーニング加算(Ⅰ)20単位/回(新設)、口腔・栄養スクリーニング加算(Ⅱ)5単位/回(新設)(※6月に1回を限度)に区分される。加算(Ⅰ)の算定要件は、事業所の従業者が、利用開始時及び利用中6月ごとに利用者の口腔の健康状態及び栄養状態について確認を行い、当該情報を利用者担当ケアマネジャーに提供している(※栄養アセスメント加算、栄養改善加算及び口腔機能向上加算との併算定不可)。加算(Ⅱ)の算定要件は、利用者が、栄養改善加算や口腔機能向上加算を算定している場合に、口腔の健康状態と栄養状態のいずれかの確認を行い、当該情報を利用担当ケアマネジャーに提供している(※栄養アセスメント加算、栄養改善加算又は口腔機能向上加算を算定しており加算(Ⅰ)を算定できない場合にのみ算定可能)。

さらに現行の口腔機能向上加算150単位/回は、口腔機能向上加算(Ⅰ)150単位/回(現行の口腔機能向上加算と同様)と口腔機能向上加算(Ⅱ)160単位/回(新設)(※原則3月以内、月2回を限度)(※(Ⅰ)と(Ⅱ)は併算定不可)に区分された。新設された加算(Ⅱ)の算定要件は、口腔機能向上加算(Ⅰ)の取組に加え、口腔機能改善管理指導計画等の情報を厚生労働省に提出し、口腔機能向上サービスの実施にあたって当該情報その他口腔衛生の管理の適切かつ有効な実施のために必要な情報を活用していることだ。ここでも(Ⅱ)の加算でデータ提出が要件化されている。

新設加算は「データ提出」が要件であることに注目していただきたい。

(顧問 宮坂 佳紀)


「コツコツと進もう」

年が明けて、臨時号を除いては初めてのメールマガジンとなります。改めまして今年もどうぞよろしくお願いいたします。

今年は丑年ですね。丑年、牛について知りたいと調べてみました。牛は昔から食料としてだけでなく、農作業や物を運ぶときの労働力として、人間の生活に欠かせない動物でした。私の幼馴染の家にも田を耕すための牛が飼われていたのを何となく覚えています。昔から、食用というよりも生活のパートナーとして、重い荷物を運んだり畑を耕したりと生活の中に欠かせない動物だったようです。勤勉によく働く姿が「誠実さ」を象徴し、身近にいる縁起の良い動物として十二支に加えられたようです。牛は力強さの象徴であり、粘り強さ、誠実さを表すとされるといわれます。また「紐」という漢字に「丑」の字が使われていますが、「結ぶ」や「つかむ」などの意味を込めたとも考えられています。

十二支の動物の中で最も動きが緩慢で歩みの遅い丑の年は、先を急がず一歩一歩着実に物事を進めることが大切な年と言われています。子年に蒔いた種が芽を出して成長する時期とされ、結果を求める時期ではなく、結果につながる道をコツコツと作っていく基礎を積み上げていく時期とされます。丑の年は、黙々と目の前の自分の仕事をこなすことが将来の成功につながる、と考えるとよいようです。

私たちは日々の業務でご利用者様・ご家族様とチームの皆と共にコツコツと進んでいく、まさに丑年の歩みそのものがケアマネジメントプロセスといえるのではないかと思います。今年もご利用者様の自立支援を目指し、利用者本位の支援を続けられるよう、みなさまともコツコツと歩んで行ければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

(理事 橋本 かおり)

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