151号 2020/08

ケアマネメールニュース(2020年8月号)

「ケアマネジャーとして知っておきたい今月の医療と介護の情報(MCIメディケアインフォメーション)」

今回も、2021年度介護報酬改定動向について社会保障審議会介護給付費分科会(分科会)資料をもとに解説したい。

2021年4月介護報酬改定を控えて(3)      「生活機能向上連携加算見直しの行方はどうなる」

7月20日に開催された分科会では、通所介護や通所リハビリテーションなどの個別サービスについて議論した。注目すべきは、2018年度改定で新設された通所介護の生活機能向上連携加算の算定率が、回数ベースで0.4%ときわめて低いことだ。算定率が低い要因は、外部のリハビリテーション専門職との連携が困難、連携にかかるコストに見合わない加算(報酬)であるとの意見が目立つ。分科会資料によると、外部のリハビリテーション専門職との連携による事業所側のメリットとして、「機能訓練指導員のケアの質が向上した」「ケアプランの内容の見直しに好影響があったか」との意見もある。分科会では、外部リハビリテーション事業所や医療機関との個別契約(連携や派遣)の締結が必要、派遣する側の事業所や医療機関にはメリットがないことを問題視する発言があったと報じられている。

通所リハビリテーションの論点はアウトカム評価――大規模事業所減算方式撤廃の意見も

通所リハビリテーションついて、分科会資料によれば、2019年度の調査研究事業の対象となった要支援・要介護者の約3割が、利用開始から6カ月後にADLが改善するなど有効性を確認している。さらに通所リハビリの利用開始6カ月後のADL改善について、要支援1~2では17%だった。一方、要介護1~2は32%、要介護3~5では38%と、より重度者で改善が進み、全体では29%だったとした。サービスを終了した人の利用期間は、1年以内が約半数となっており、終了後に利用したサービスでは通所介護が約7割となっていることも紹介。自立支援をより効果的に促進していくための方策などが論点に挙げられている。

訪問介護・訪問看護団体からの要望事項に注目――訪問介護の休日加算新設などの評価はどうなる

8月3日に開催された分科会では、21年度改定要望事項が関係団体から提案されている。各団体からの要望事項のうち共通している内容は「人材確保や雇用の継続に繋がる給与設定ができる報酬単価設定」「新型コロナ感染対策の報酬上の評価」「処遇改善加算及び特定処遇改善加算の書類の簡素化、事業者の裁量権の拡大、人材対策費の一部計上」が挙げられる。注目すべきは、訪問介護団体から、「診療報酬」の休日加算を介護報酬でも新設すべきとういものだ。訪問介護の生活機能向上連携加算については、連携先リハビリテーション事業所に、訪問介護事業所職員が同行訪問する評価(報酬)の新設も求めている。

訪問看護団体からは「質の高い訪問看護の評価(診療報酬との齟齬の解消)」として、18年度診療報酬改定で新設された「情報提供療養費3」について、介護報酬でも入院・入所時の医療機関等への情報提供の評価(訪問看護情報提供料の新設)を求めた。さらに緊急時訪問看護加算を診療報酬の24時間対応体制加算と同額へ引上げることを要望した。

通所介護関連団体からは、生活機能向上連携加算の算定要件の見直しに加えて、ADL維持等加算の単価引上げ、算定要件の見直し、他サービスへの展開及びアウトカム評価の拡充、事業所評価加算の対象領域の拡大などを掲げた。ADL維持等加算は、1月3~6単位と低い評価である。一方、算定要件のハードルが高く、生活機能向上連携加算の算定率と同じくきわめて低い。そこで大幅に単価を引き上げる、算定要件についても、総数20名以上の見直し(地域密着型通所介護でも算定可能にする)、要介護度3以上の者の割合が15%以上の見直し、5時間以上の通所介護費の算定基準の見直しを要望した。生活機能向上連携加算の算定要件の見直しについては「算定要件の中で、医療提供施設の専門職との連携と定められている部分を、PT・OT・STについては、医療提供施設に限定せずに、外部との連携において算定可能な要件に変更を強く要望」とした。

リハビリテーション関係団体からは退院カンファレンスへの参加を評価――管理栄養士団体からは栄養情報提供料の新設

管理栄養士団体からは、20年度診療報酬改定で新設された入院栄養食事指導料の栄養情報提供加算の同評価として「介護保険施設から医療機関への入院時、並びに在宅復帰時における栄養情報提供書発行に対する評価」を要望(新設)した。加えて栄養ケアの充実に向け、中・大規模介護保険施設への管理栄養士の複数配置(加算・新設)や、介護保険施設の管理栄養士がリハビリテーション等の計画書作成に関与した場合の評価(拡大)、通所介護及び通所リハビリテーション等において、管理栄養士がリハビリテーション等の計画書作成に関与した場合の評価(拡大)などを要望している。

リハビリテーション関連団体からは、退院後の生活期リハビリを迅速に始めるための措置として、退院前カンファレンスで通所・訪問リハビリの医師やリハビリ専門職の参加を評価する加算を設けることなどを提案した。退院前カンファレンスは、居宅介護支援事業所や訪問看護ステーションでは「参加報酬」が算定可能となっている。一方、通所・訪問リハビリの事業所は算定できない。この現状について「通所・訪問リハビリの職員がカンファレンスに参加している例も多い」とし、退院後早期にリハビリを開始すれば、その後のADL向上にもつながるとの調査結果もあると報告。連携強化で退院後より速く生活期リハビリを開始するための措置として、通所・訪問リハビリを対象とした「退院前カンファレンス参加加算(仮)」の創設を求めた。

限られた財源から、関係団体からの要望事項が全て実現される可能性は高くない。ただ、リハビリテーションと機能訓練の効果的な連携と双方評価として「生活機能向上連携加算」の見直しに強く期待したい。

(顧問 宮坂 佳紀)

コロナ禍の研修

新型コロナウイルスの流行により延期していた介護支援専門員の法定研修が8月より再開となっています。読まれている方の中には受講しておられる方もおいでかもしれませんが、今までの研修とは違うことが多くてびっくりされたかもしれません。私はこの広報委員と法定研修委員も担当させていただいているのですが、どうすれば感染予防ができるのかということを何度もweb会議を行い、対策を協議して、ようやく研修の再開となりました。

研修会場に寄せていただいたのですが、受講者の方々に朝の検温や出入りのたびに手指消毒、マスク着用を協力いただいています。テーブルに一人着席や互い違いに座るだけでなく、研修中には換気の為に窓を開け閉めしますので、その都度人がうろうろする…と今まででは考えられない研修風景となりました。もっと驚きなのはグループワークがとても少なくなっています。研修と言えば、ミニワークや事例検討じゃないの?と皆さんも思われていると思いますが、極力少なくなっています。実際に寄せていただいて、大きな変化を目の当たりにしました。

研修中はビニールシート越しに講師の方々の顔がはっきり見えず残念に思いながら、今後もICTの活用や新たな方法など、新しい研修のあり方を考えて行かないといけないと感じました。

(理事 橋本 かおり)

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