149号 2020/06

ケアマネメールニュース(2020年6月号)

「ケアマネジャーとして知っておきたい今月の医療と介護の情報(MCIメディケアインフォメーション)」

今回から、2021年度介護報酬改定動向について解説していきたい。

2021年度4月介護報酬改定を控えて (1)       「議論が開始、4つの主な論点とは」――適正化は継続か

3月16日、社会保障審議会介護給付費分科会(分科会)では、2021年度介護報酬改定の取りまとめに向けた行程が厚労省より提示され、議論がスタートした。関連する事業者団体へのヒアリングや改定に向けた主な論点の整理を秋ごろまでに完了し、その後の「第2ラウンド」では12月をめどとした審議報告の取りまとめに向け、分科会で示す具体的な方向性に沿って議論し、2021年年明けの諮問・答申を目指す予定だ。3月の分科会では厚労省はより、2021年度介護報酬改定に向けた主な論点が提示された。2018年度改定の審議報告で示した課題や、介護保険制度の見直しに向けた意見なども踏まえながら分野横断的に議論していくことが考えられるとした。具体的な論点として、1)地域包括ケアシステムの推進、2)自立支援・重度化防止の推進、3)介護人材の確保・介護現場の革新、4)制度の安定性・持続可能性の確保―の4点を現時点での検討事項に挙げた。このうち4)の制度の安定性・持続可能性の確保は、介護保険サービス提供側からみると更なる適正化が予測できる。

(参考)介護報酬改定における主な論点(案)
○診療報酬と同時改定となった平成30年度介護報酬改定においては、地域包括ケアシステムの推進を始めとする4つの項目を柱とし、改定を行った。
Ⅰ 地域包括ケアシステムの推進

Ⅱ 自立支援・重度化防止に資する質の高い介護サービスの実現

Ⅲ 多様な人材の確保と生産性の向上

Ⅳ 介護サービスの適正化・重点化を通じた制度の安定性・持続可能性の確保

○令和3年度介護報酬に向けては、

・平成30年度介護報酬改定に関する審議報告(2017年12月18日社会保障審議会介護給付費分科会)における今後の課題や、

・介護保険制度の見直しに関する意見(2019年12月27日社会保障審議会介護保険部会)、

・認知症施策推進大綱(2019年6月18日認知症施策推進関係閣僚会議決定)、等を踏まえ、各サービス種類毎の論点とあわせ、以下のような分野横断的なテーマについて、議論していくことが考えられるのではないか。

※今後議論を進める中で変更することは想定される。

・地域包括ケアシステムの推進

・自立支援・重度化防止の推進

・介護人材の確保・介護現場の革新

・制度の安定性・持続可能性の確保

(出典)第176回社会保障審議会介護給付費分科会(2020年3月16日開催)厚労省ホームページ

分科会では、事業所の連携を評価する加算を設けることや、明快な報酬体系ときめ細かな対応の両立を求める声が上がったという。

6月の分科会ではコロナ対策なども話題に――感染症対策のインセンティブ加算も提案

その後新型コロナ感染症の関係で分科会は開催されていなかった。6月1日、ようやく分科会が、新型コロナウイルス感染症への対応などについて、オンライン会議形式で開催された。委員からは、感染症への対応の長期化を見据え、第2次補正予算案で盛り込んだ介護職員への慰労金といった一時的な措置だけでなく、加算などの恒久的な措置を求める声が複数出たと報じられている。委員から、感染対策を充実させた事業所のインセンティブとなるよう、基本報酬に事業所体制加算として一定割合を上乗せすることを提案したという。

福祉用具貸与の上限設定見直しも提案――福祉用具の取り扱いの適正化解消?

6月の分科会で厚労省は、1)福祉用具貸与の上限価格の設定を3年に1回周期とする、2)福祉用具の平均貸与価格の公表を3年に1回周期とすることを提示。具体的な対応策として、2021年度から周期を見直すこととし、2020年度は新商品に限定して全国平均貸与価格の公表と上限額の設定を行うことが提案されたが結論には至っていない。※

厚労省の提案の背景には、平均貸与価格が公表され価格上限が設定されたことで、福祉用具事業所の収益が減少した(見込み)との回答が70%を超えた調査結果もある。また福祉用具貸与上限価格を毎年見直しても、大きな適正化効果が得られないという視点もあるようだ。仮に福祉用具貸与事業所の経営状況を判断した適正化解消策であれば、秋にも公表される介護経営実態調査結果により他のサービスの適正化も、解消されるのではないかという期待感も少なからずある。

※編著者コメント=厚生労働省老健局は6月12日付で、福祉用具貸与の上限額の設定と全国平均貸与価格の公表を3年に1回の周期に変更することを都道府県などに事務連絡した。従来はおおむね1年に1回の周期で見直していたが、分科会での議論を踏まえて他サービスと同様の周期に変更される。今後は2021年4月貸与分から適用する価格を見直し、その後は3年に1回の周期で見直すことになる。

(顧問 宮坂 佳紀)

“withコロナ” “afterコロナ”と医療連携

新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言が解除され、先日都道府県境をまたぐ移動についても自粛解除となった。
この間、利用者の体調の把握に神経をすり減らし、発熱していると聞けばビクビクしながらサービス事業所と連携を取っていたように思う。ただ、解除されたとは言え第2波に備え油断する訳にはいかない。今まで経験したことのない事態に、日々変化していく情勢、人員配置や報酬についての様々な通知の確認など何が何だか分からないうちに、約3ヶ月が経過した。「大変」な時は「きく」「わる」時、と以前のメールマガジンにも書いた覚えがあるが、新しい生活様式が提案されるなど、大きく変化している。
ケアマネジメント業務や法定研修なども、どうやって感染拡大防止を行っていくかが重要となっており、今までの常識が過去の物になるように感じる。特に、入院中の利用者の退院に向けたアセスメントの部分では思うようにアセスメントが行えず、当たり前のように病院へ訪問して行っていたことが懐かしいとまで感じるようになった。
当会でも、各種委員会の会議が開催できず、WEB会議を取り入れ様々な協議を進めてきた。オンラインで繋がることで、当初はやりづらさを感じていたが、徐々にやりとりができるようになったのではと思う。そういう意味では、先ほどの入院中の利用者へのアプローチについては、もっとオンラインを使った方法が普及しても良いのではないかと感じる。居宅介護支援事業所や各サービス事業所、入所施設などもネット環境が整っていないところはまず無く、また病院についても当然のようにネット環境は存在している。その一方で、オンラインでやり取りするツールが多く、核となるツールが決まっていないことがオンラインでのやり取りの普及を阻害しているのではないかと感じる。
オンラインでやり取りする課題は、個人情報の取り扱いや漏えい、時間を合わせてやり取りする手間なども挙げられるが、現にFAXでの情報のやり取りも個人情報漏えいのリスクはあり、電話でのやり取りも時間を合わせる必要があるため、大きく変わらないように思う。何度も電話の行き違いがあり中々連絡が取れないことは良くあることだ。
コールセンターの様にマイク付きのヘッドフォンを付け、パソコンに向かって退院前カンファレンスをするぐらいの取り組みができれば、その場で記録を打つことも可能となり時間が短縮できるのではないかと思う。
これからどのような情勢になるかは未知であるが、新たな仕事のやり方が確立できれば週休3日などの勤務も可能になるのではないだろうか?テレワークの普及も然りである。今私たちには、新たな道を模索しながら実行していく行動力と勇気が求められているように感じてならない。何よりも、感染者を増やさない取り組みが、医療の最前線で奮闘下さっている方々に対して、私たちができる感謝の伝え方ではないだろうか。

(広報委員長 中嶋 優)

ページの先頭へ