141号 2019/12

ケアマネニュース(19年12月号)

「ケアマネジャーとして知っておきたい今月の医療と介護の情報(MCIメディケアインフォメーション)」

2021年度の介護保険制度改正に向け議論を進めてきた社会保障審議会・介護保険部会(部会)が12月16日に開催され、「制度見直しに関する意見」の素案を提示した。このうち「給付と負担の関係」では(1)被保険者範囲・受給者範囲、(2)補足給付に関する給付の在り方、

(3)多床室の室料負担、(4)ケアマネジメントに関する給付の在り方、(5)軽度者への生活援助サービス等に関する給付の在り方、(6)高額介護サービス費、(7)「現役並み所得」「一定以上所得」の判断基準、(8)現金給付の8項目について議論の整理の方向性が示された。8項目のうち(1)被保険者範囲・受給者範囲については範囲の拡大の議論の前に給付や利用者負担の在り方について適切に見直すことが先決との意見と(8)現金給付については、現時点で導入することは適当ではないと結論づけられた。

□高額介護サービス費と補足給付の見直しの2項目で具体案が提示――ケアマネジメントに関する給付と軽度者への生活援助サービス等に関する給付などは先送りへ

部会では、(2)補足給付の在り方と(6)高額介護サービス費について、個人所得や資産による支払い能力に応じて負担額を決める応能負担の考えに沿って、具体的な見直し案を提案した。素案では、高額介護サービス費について、年収約383万円以上の所得で一律4万4400円としてきた従来の月額上限額を、世帯ごとの負担能力に応じてさらに細分化する考えを明記。具体的には、年収約770万円までの世帯はこれまで通りに据え置く一方で、年収約770万円から約1160万円までの世帯は9万3000円、年収約1160万円以上は14万100円にそれぞれ上限額を引き上げ、医療保険の70歳以上の負担限度額と足並みをそろえる。年間上限の利用者数の実績を踏まえ、年間上限の時限措置については、当初の予定通り2020年度までの措置としてはどうかとも付け加えている。

補足給付では、介護保険3施設の食費について一部の利用者に月額2万2000円の自己負担を上乗せする。世帯全員が住民税非課税で、本人の年金などによる収入の合計が120万円超の世帯が対象。ショートステイも同様に日額650円の負担増を設定したほか、食費が給付外のデイサービスとの兼ね合いから、住民税非課税で本人の年金収入等が80万円以下の世帯まで金額は小額にした上で負担増を求めた。所得段階に合わせて給付を受けられる資産の基準も設けている。

(参考)食費・居住費の助成(補足給付)に関する給付の在り方の考え方

○食費・居住費の助成(補足給付)の所得段階について、保険料の所得段階と整合させるとともに、能力に応じた負担とする観点から精緻化し、食費・居住費負担を含む本人の支出額について、所得段階間の均衡を図ることとしてはどうか。

〇具体的には、補足給付第3段階の年金収入額を保険料の所得段階と合わせて2つに分け(「第3段階①」・「第3段階②」)、その上で、介護保険三施設に係る第4段階と第3段階②の本人支出額の差額(介護保険三施設平均)の1/2を、第3段階②の本人負担に上乗せしてはどうか。

○ショートステイの食費・居住費の助成(補足給付)の所得段階について、保険料の所得段階と整合させるとともに、能力に応じた負担とする観点から精緻化し、食費の本人支出額について、所得段階間の均衡を図ることとしてはどうか。

○具体的には、以下のようにしてはどうか。

・補足給付第3段階の年金収入額を保険料の所得段階に合わせて2つに分け(「第3段階①」・「第3段階②」)、その上で、第3段階②の補足給付について、介護保険三施設と同額に設定(▲710円/日)。

・食費が給付外となっているデイサービスとの均衡等の観点から、第3段階①、第2段階の助成額についても、負担能力に配慮しつつ、見直し。

・各所得区分毎の段差が300円から400円となるように調整。

○食費・居住費の助成(補足給付)の所得段階について、保険料の所得段階と整合させるとともに、能力に応じた負担とする観点から精緻化し、資産(預貯金)基準について、所得段階に応じた設定としてはどうか。

○具体的には、補足給付第3段階の年金収入額を保険料の所得段階と合わせて2つに分け(「第3段階①」、「第3段階②」)、その上で以下の観点から、単身者「1,000万円以下」を、第2段階は「650万円以下」、第3段階①は「550万円以下」、第3段階②は「500万円以下」としてはどうか。

・介護保険三施設いずれの場合も約98%の入所者が15年以内に退所している。

・介護保険三施設の本人支出額の平均と年金収入を比較し、補足給付を受けながら本人の年金収入で15年入所することができる水準とする。

・居宅サービス利用者や保険料を負担する方との公平性の観点から、基準額との差額の見直し。ただし、いずれの所得段階でもユニット型個室に10年入所することができる水準とする。

 

このほか検討事項として絞り込んでいた(3)多床室の室料負担、(4)ケアマネジメントに関する給付、(5)軽度者への生活援助サービス等に関する給付、(7)「現役並み所得」「一定以上所得」の判断基準については、今後の検討事項とし、具体的な見直し案は示されていないため、実質先送りとなった形だ。

部会で示された素案には①要介護認定では、更新認定の二次判定で直前の要介護度と同じ要介護度と判定された利用者について、有効期間の上限を36カ月から48カ月に延長することが必要とした。②認定調査を指定市町村事務受託法人に委託して実施する場合、認定調査員の要件をケアマネジャー以外の保健、医療、福祉の専門的知識のある人が実施することも適当とした。③ケアマネジャーの処遇改善などを通じて、質の高いケアマネジャーを安定的に確保することや、公正中立なケアマネジメントの必要性も盛り込んだ。

(顧問 宮坂佳紀)


「とどのつまり」

「つまり」とか「結局のところ」といった意味で使われる言葉に「とどのつまり」という言葉がある。良い結果の時にはあまり使わない印象があるが、この「トド」が魚の名前であることはご存知だろうか?卵巣がカラスミの原料になる魚で、なじみのある言い方をすれば「ボラ」のこと。
ボラは出世魚の代表的な魚で、関西ではハク→オボコ→スバシリ→イナ→ボラ→トドの順で大きくなれば名前が変わっていく。結局一番成長したものをトドと呼び、これ以上成長しない様子から「とどのつまり」という言葉が生まれたと言われている。ボラは漢字で「鯔・鰡」と書くが、魚へんに留める(とめる)でボラと書くあたりは「とどのつまり」がこの魚から来ていることの裏付けになっていると思う。
実はトドだけでなく、この魚の名前に由来した言葉が他にもある。1つはオボコ。幼い様子のことを「おぼこい」と言ったりするが、これはこのオボコから来ているとか来ていないとか。その他には顔を黒塗りにしてサングラスをかけた某グループが歌っていた「め組のひと」の歌詞の冒頭「いなせだね」もそうである。「いなせ」を調べると「粋で、勇み肌で、さっぱりしているさま。また、その容姿や、そういう気風の若者」と出てくるが、漢字で書くと「鯔背」となる。江戸時代に日本橋魚河岸の若者が髪を鯔背銀杏に結っていたところからそう言われるようになったらしいが、「いなせ」の「いな」はこの魚の事なので、昔からボラが庶民の生活に根付いていたことが伺える。ただ、釣り人にとってはあまり好む魚ではなく、釣れてもほとんどの場合がリリース(海に帰す)することになる。小骨が多く、時期によっては身に臭みがあるためあまり口にすることはない。
一方京都にも京都独自の言葉が多くあり、古くからの文化の中で培われてきたものが多い。普段使っている言葉でも、京都で使うと意味が変わってくるものなどもある。お茶漬けの話などは有名であるが、利用者と訪問の約束をする時にも気を付けなければいけないことがある。例えば、「13時30分に行きますね」と約束をしてその通り訪問すると「早い」と怒られることがある。京都市内で仕事を始めたころに利用者に教えていただいたが、この場合の13時30分は13時33分~13時35分ごろを指すらしい。なので、きっちり時間通りに行くと感覚的に早く、迎え入れるための準備中であるため怒られるそうだ。ただ、約束した5分前には来てほしいと言われる方や、きっちり伝えた時間に来てほしい方など人それぞれで、インテークの初回面談の際には注意が必要だが、この時間の感覚を初めて電話した中のやり取りで把握するのは難しい。なので私は、最初の約束の時は「〇〇時頃に伺います。前後するかもしれませんが・・・」と時間を言い切るのではなく、言葉を濁し保険をかけることが多い。
とどのつまり、支援のどの部分を切り取っても個別性は高く、その個別性に私たちが合わせていくしかないのだと思う。もうすぐお正月を迎えるが、1月の訪問を小正月後の方が良いかどうか、その個別性についても確認しておこうと思う。

(広報委員長 中嶋優)

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