170号 2021/08

ケアマネメールニュース(2021年8月号)

「ケアマネジャーとして知っておきたい今月の医療と介護の情報(MCIメディケアインフォメーション)」

2022年4月は、2年に1回見直しされる診療報酬改定を迎える。今回からケアマネジャーとして知っておきたい「2022年度診療報酬改定動向」をポイント解説したい。

2022年度診療報酬改定の主要テーマは「コロナ・感染症対応」――特例から恒久化の評価も?

2022年度診療報酬改定に向け、厚生労働省の中央社会保険医療協議会(中医協)総会での議論が活発化してきた。2022年度改定は新型コロナウイルス感染症による影響やその対応が主要項目になる。中医協総会では、改定に向けた主な検討テーマとして、「コロナ・感染症対応」「外来」「入院」「在宅」「歯科」「調剤」の各項目と、「働き方改革の推進」「不妊治療の保険適用」「医薬品の適切な使用の推進」「歯科用貴金属の随時改定」について議論することが決まった。9月からは論点に対する具体的な議論が始まり、来年3月には諮問・答申という通常のスケジュールで実施される。

新型コロナウイルス感染症により外来・入院・調剤ともレセプト枚数、請求点数が大幅に減少した。この減少による経営面での補填と言っても過言ではない「感染症対策評価加算」が入院・外来・調剤報酬で4月から9月末まで新設された。本加算は診療報酬上の特例で、特に手厚い感染症対策を講じて診療した場合、本年4~9月診療分について初診料や再診料、外来診療料などを算定する場合に「医科外来等感染症対策実施加算」として1日に5点を加算。訪問診療も同様である。入院では入院基本料や特定入院料などを算定する場合、「入院感染症対策実施加算」として1日につき10点を算定可能となっている。また、病院など1日に複数診療科を受診する場合、1日に2科まで5点が算定。最大で1日10点の評価。併せて外来即入院の場合では、外来で5点、入院で10点と1日に15点算定可能だ。なお、電話再診では算定不可であり、入院患者の外泊期間中も算定できない。加えて、調剤報酬でも調剤基本料などに1日に4点加算という評価がある。さらに訪問看護ステーションについては、1回ごとの訪問評価ではなく、30回の訪問につき1500円を算定できるという「先取り加算」評価がある。また、小児特有の感染防止対策を評価するため、昨年12月には6歳未満の乳幼児の外来診療では医科で100点、歯科で55点、調剤で12点を特例的に算定できることになった。併せて乳幼児感染症防止加算は10月以降来年3月末まで半額評価が継続することも決まっている。

一方、感染症対策評価加算の期限は9月末に迫っている。7月には、日本医師会、日本歯科医師会、日本薬剤師会の三師会や病院団体は9月末までの期限となっている新型コロナウイルス感染症に伴う診療報酬上の特例的な対応について、継続を求めていくことを決め、厚生労働省に要望した。

中医協総会では、次期改定では外来や入院の基本診療料へ「包括化」すべきという診療側と、エビデンスがないとして反対する保険者側で意見が二分。今後も継続論議されるが、10月以降の取り扱いについては9月初旬には結論が出るだろう。ただ小児特例が「半額評価」となることから一般の感染症評価も「半額評価」または「満額加算評価」として来年3月まで継続される可能性は高い。加えて次期改定では、感染症対策特例加算から診療報酬の診察料など基本報酬に包括され引上げも期待できる。

介護報酬では新型コロナウイルス感染症に対応するための特例的な評価として、全てのサービスに対して、2021年9月末までの間、基本報酬に0.1%上乗せの評価がある。この評価は、診療報酬と比較して、「低すぎる」と言っても過言ではない。また2021年度介護報酬改定における昨年末の大臣折衝事項を踏まえて、10月以降は延長しないことが基本とされている。

ただ現時点での感染状況や介護の事業運営の実態などを踏まえ「延長」が検討されることになりそうだ。さて、診療報酬と介護報酬の感染症防止加算評価は「足並み」が揃えられるのだろうか?同時に介護報酬の感染対策評価の底上げを期待したい。

(顧問 宮坂 佳紀)


【連載企画】各ブロックの地域活動について(第7回:京都市南東ブロック)

2021年2月号より地域の活動を紹介させていただいております。
第7回となる今回ご紹介させていただくのは、京都市南東ブロックでの活動です。

――――――

京都市南東ブロック理事として拝命いたしました苅田と申します。

当ブロックは東山区、下京区、山科区3つの行政区で構成されており、当方含め8名のメンバーで活動させていただいております。

令和2年度以前はブロックとして地域からはやや独立した格好であり、京都府介護支援専門員会としての企画研修、活動を年に数回実施しておりました。令和2年度からは行政区主体で運営していた介護保険事業者連絡会運営協議会へブロック委員がコアメンバーとして参画し、地域に根差した活動を各メンバーが邁進しております。

新型コロナウイルス感染症の蔓延にともない社会活動にも大きな制限、リスクが伴いこれまで以上にブロック活動に創意工夫、思考力が試されるようになりました。ただ近年は技術の発展が目覚ましく、発信や受信、共有も多様的におこなえる世の中となり、その気になれば独自性の高いプラットフォームを構築することが容易となりました。Zoomやセールスフォース、サイボウズ、グーグルクラウド、YouTubeなどが代表格ではないでしょうか?
ただ時代の変化流動性がすさまじく、多様性に対する理解と受容、柔軟性、寛容性が試される世の中でもあると日々感じております。

今年度も、介護保険事業者連絡会を基軸とした活動が当ブロック委員の主体的活動の場となりますが、今のこの現状がどのような未来になるのか予測することが難しく、感染防止の観点から非接触、非対面での活動が求められています。東山区、山科区、下京区ではZoomを用いたオンタイムでの会議や協議、YouTubeでのオンデマンド発信、クラウドを用いた情報収集など各自が運営協議会のメンバーの皆様と試行錯誤しながら積極的活動を展開しております。このようにブロック委員はじめ運営協議会の皆様が、リスクを背負いながら日々多忙な業務をこなし地域活動に貢献いただけることは、まさに尊敬しかありません。

がんばらなくてもよい、リスクを引き受けなくてもよい風潮もひとつの文化、価値観として確立しています。しかしその反面、強い倫理観をもって使命を全うするために積極的にリスクを引き受け寡黙に歩み続けることを良しとする価値観も存在します。当方におけるブロック委員メンバーは後者の価値観を胸に秘めています。

今年度の活動も先が見えない、まるで霞がかかったような中で京都府介護支援専門員会のブロック委員として各自努力、協力を惜しまず地域の発展に貢献できるよう、実りのある発信、提言をし、地域に還元できるように精進を重ね邁進していく所存です。今はまだまだ道半ばではありますが、今を精一杯思いっきりやることが「京都府介護支援専門員会」の将来の発展に寄与することを願って。そして各ブロック委員が地域の大切な一員として誇り高く生きていけるように。

――――――

社会情勢の変化に合わせて柔軟に対応することは介護支援専門員にとって重要であり、必要なスキルの一つだと思います。現在のコロナ禍における様々な制限に加え、ご利用者さんの急な体調変化や計画変更という日頃の変化への対応、報酬改定や加算要件の変更による業務内容の変化についても介護支援専門員は柔軟に行動することが求められています。今、間違いなく私たちは変化の渦中にいますが、そんな時こそ京都市南東ブロックからのご報告にあったように強い意志と本来我々が果たすべき使命だけは見失ってはいけないと感じました。

(理事 柴田 崇晴)

ページの先頭へ