153号 2020/09

ケアマネメールニュース(2020年9月号)

「ケアマネジャーとして知っておきたい今月の医療と介護の情報(MCIメディケアインフォメーション)」

今回も、2021年度介護報酬改定動向について社会保障審議会介護給付費分科会資料をもとに解説したい。

2021年4月介護報酬改定を控えて(4)      「出揃った訪問・施設サービス改定論点の行方を探る」

8月中下旬に開催された厚生労働省の社会保障審議会介護給付費分科会(分科会)は、訪問看護や居宅療養管理指導などの訪問系サービスと居宅介護支援及び介護老人福祉施設など4つの施設サービスを議論し論点を提示した。今回は居宅介護支援と主な訪問系サービスの論点を提示し、分科会資料から今後の行方を先読みしたい。

居宅介護支援・介護予防支援の論点では以下6項目の「観点」から次期改定でどのような方策が考えられるかと提案。1)医療をはじめ、多分野の専門職の知見に基づくケアマネジメントを図る観点、2)医療や介護に加え、インフォーマルサービスも含めた多様な生活支援が包括的に提供されるような居宅サービス計画の作成を推進する観点、3)公正中立なケアマネジメントの確保、ケアマネジメントの質の向上の観点、4)質の高いケアマネジャーの安定的な確保、ケアマネジャーが力を発揮できる環境の整備を図る観点、5)地域包括支援センターについて、機能や体制の強化を図る観点、6)業務負担が大きいとされる介護予防ケアマネジメント業務について、外部委託を行いやすい環境の整備を進める観点。

9月4日の分科会資料によれば、委員から2)のインフォーマルサービスについて、同サービスが組み込まれたケアプランを評価すべきとの意見やサービスの利用実績にかかわらず、評価することを検討すべきとの意見もあり、新たな評価が期待できそうだ。また、3)の観点に対して公平、中立、適切な判断が全国で同じ基準で行われるよう、ケアプランの標準化を進めるべきではないか。介護支援専門員の人材不足が課題となっており、質の維持・向上を前提に標準担当件数や、40件からの逓減制の件数等の見直しを検討してはどうかとの意見もある。加えて通院同行は医療と介護の連携に有効なので、新たな評価を検討すべきという意見にも注目すべきだ。5)については「重度化防止を図る観点から医療と介護の連携の強化は重要であり、介護予防支援においても、日常的な医学管理やリハビリテーションが必要な場合には、加算として評価することを検討」すべきという意見も見逃せない。

分科会委員からの意見が全て次期改定で実行される可能性は低い。ただ、居宅介護支援事業所の経営状況は介護保険サービス創設以降継続して赤字傾向にある。次期改定でも経営状況改善に向け、居宅介護支援費という本体と特定事業所加算など加算部分での引上げを期待したい。

訪問看護は2020年度診療報酬改定と同じ視点で見直し――訪問看護STの理学療法士の取り扱いはどうなる

訪問看護については、現状と課題の一つに「2017年の訪問看護ステーション(訪問看護ST)1事業者当たりの常勤換算従事者数は2001年と比較すると、看護職員が1.25倍増加しているのに対し、理学療法士(PT)等は4.2倍に増加している」ことを提示。訪問看護STの訪問看護費で見ても、訪問看護の一環としてのPT等による訪問(単位数)の増加率が著しいことを強調。前回の介護報酬改定で訪問看護STからのPT等による訪問の報酬は1回302単位から296単位に引下げられた。一方看護職員の報酬は1単位から4単位引上げられている。訪問看護STのPT等の配置割合は、2020年度診療報酬改定時に、機能強化型訪問看護管理療養費施設基準において、看護職員割合6割以上という要件が新設された。このことから、看護職員配置割合が、何らかの形で介護報酬でも取り入れられるだろう。また、看護体制強化加算の算定率も低く、同加算の算定要件緩和や引上げが予測できる。一方、訪問看護STの収支差率は2018年度決算では4.2%と他サービスと比較して高い。ただ2017年度比較ではマイナス0.3%となっている。この収支差もPT等による訪問の占める割合が高い訪問看護STの現状により、収支差に影響していることが明確になれば、看護職員の報酬引上げ、PT等報酬引上げという手法が継続される可能性は高い。

訪問リハビリテーションは医師の関与が論点――事業所医師の診察と別の医療機関医師の研修要件はどうなる

前回の改定で訪問リハビリテーション事業所医師が、利用者の診察を行うことが前提となり、専任常勤医師の配置が必須化された。医師の診察・配置状況では、1)約19%の事業所において事業所以外の医師が訪問リハビリテーションにおける診察を実施。2)約30%の事業所において非常勤医師が配置、との現状が報告されている。報酬上は1回事業所医師の診察がありサービス提供した場合290単位、医師の診察がない場合「20単位減算」となる。なお、別の医療機関医師の診察により訪問リハビリテーションサービスを提供した事業所も20単位減算だ。ただし別の医療機関医師の指示の場合は、適切な研修終了が義務付けされている。この経過措置は2021年3月末で終了する。仮に別医療機関医師の指示の場合で研修受講がなければ、訪問リハビリテーション報酬自体請求不可となる。したがって、本件の取り扱いの行方が最も気になるところだ。なお、介護給付費実態調査(2019年11月時点)ではリハビリテーション計画診療未実施減算の算定件数は減少傾向にあるものの、総算定回数に占める割合は17%となっている。

厚労省は論点として、1)医療ニーズを有する要介護者の生活を支えるサービスとして、訪問リハビリテーションサービスが必要な者に必要なサービスを効果的に提供できるようしていくことが求められるが、医師の関与や自立支援の取組の更なる促進、通所リハビリテーションや総合事業との役割分担等についてどのように考えるか。2)リハビリテーションと機能訓練との連携や移行をより効果的・効率的に行うため、その基礎となる計画書等の整合や在り方についてどのように考えるか、の2点を提示。医師の関与について具体的な内容は今後の議論まちとなるが、減算請求件数比率からみて少なくとも研修要件の経過措置は、延長されるのではないか。

居宅療養管理指導費は医師の関与が焦点――2020年度診療報酬改定との整合性はどうなる

居宅療養管理指導費算定事業所数は全体として増加しているが、算定状況は職種毎に異なっている。また、医師・歯科医師の算定要件として、①ケアマネジャーに対する、ケアプランの策定等に必要な情報提供及び②利用者やその家族等に対する、介護サービスを利用する上での留意点、介護方法等の指導や助言を行うことが定められている。厚労省は分科会においてケアマネジャーに対し情報提供すべき事項に、「利用者の日常生活上の留意事項」が含まれている。この内容は、診療報酬の診療情報提供書の様式を利用することが可能であるとされているものの、主治医意見書と比較すると、その項目等は限定的であると強調。加えて要介護など更新期間が4年に延長されることが決まったことから、医師などの指導、助言の機会が減少することを問題視している。論点を見る限り医師のケアマネジャーへの情報提供項目は拡大し、要件が厳格化されることも想定できよう。

(顧問 宮坂 佳紀)

鳴かぬなら

再開した大河ドラマ「麒麟がくる」は、京都北部にゆかりのある明智光秀、細川藤孝が活躍する戦国時代を舞台にしたドラマです。私は舞鶴なので福知山と同じ中丹ブロックですが、福知山という地名は、明智光秀が横山城を福智山城に改めたことが由来になっていることすら知りませんでした。
そこで今回のドラマで改めて気になり、色々と調べていると、逆臣といわれる明智光秀の思わぬ性格に触れることができました。
「鳴かぬなら 殺してしまえ ホトトギス」。これは織田信長の性格を表した詩(うた)で、豊臣秀吉は「~鳴かせて見せよう~」、徳川家康は「~鳴くまで待とう~」といったそれぞれの性格を表現した詩です。
実はこれ以外に、明智光秀の性格を表した詩があるのを御存じでしょうか。
それは「鳴かぬなら 私が鳴こう ホトトギス」。親方である織田信長のためなら、私が代わりに鳴きましょう、という強い忠誠心と優しさを表した詩です。ホトトギスが殺されるならば、自分が鳴くことで親方の気を静めましょうという、思わぬ一面がこの詩から読み取ることができます。そんな彼がなぜ親方を裏切ったのか、これからの夜長の楽しみです。
そんなことを考えながら、ふと自分だったら何と読むのか、想像してみました。
「鳴かぬなら 再アセスメント ホトトギス」。鳴かない理由は何なのか。病気なのか?環境面なのか?やはり何度もアセスメントをおこなうことが大事だと思いませんか。

追記:月刊ケアマネジメント10月号「つながれ! ケアマネジャー連絡会の輪」のコーナーで、舞鶴介護支援専門員会の取組を紹介させていただきました。機会がありましたら、是非見て頂けると幸いです。

(常任理事 柴田 崇晴)

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