139号 2019/10

ケアマネニュース(19年10月号)

「ケアマネジャーとして知っておきたい今月の医療と介護の情報(MCIメディケアインフォメーション)」

10月9日に開催された厚生労働省の社会保障審議会・介護保険部会(部会)は、次期介護保険制度改正に向けて、1)地域支援事業等の更なる推進、2)介護人材の確保・介護現場の革新、3)被保険者・受給者範囲について議論した。今回はこのうちケアマネジャーに関連する「地域支援事業等の更なる推進」の検討項目について概説する。

□ケアマネジメントの現状と課題――介護支援専門員の処遇が相対的に低くなっているとの指摘も

部会資料のうち、地域支援事業等の更なる推進では(1)地域包括支援センター、(2)ケアマネジメント、(3)総合事業、(4)在宅医療・介護連携推進事業についての現状と課題並びにこれまでの議論と論点が提示されている。このうち(1)地域包括支援センターの論点では、「介護予防ケアマネジメント業務は、業務負担が大きいことから、センター業務から外すべきとの意見があるが、要支援者等に対する適切なケアマネジメントを実現する観点から、外部委託は認めつつ、引き続き地域包括支援センターが担うことが重要ではないか。その際、外部委託を行いやすい環境の整備を進めることも重要と考えられるがどうか」が特出できよう。部会では委員の意見として「地域包括支援センターの業務が近年非常に過大になっており、見直しが必要」、「地域包括支援センターは、今後は個別のケアよりも地域全体を見越した連携、調整等の職務に軸足を置かざるを得ないのではないか」、「業務が多いことを踏まえて、介護予防支援のケアマネジメントについて、居宅介護支援事業所への委託や移行を検討する必要がある」との意見がある。このうち外部委託についての結末は、今後の動向に注目していただきたい。

(2)のケアマネジメントの現状と課題では1)「居宅介護支援事業者が居宅の要介護者に対して、居宅サービス計画(ケアプラン)の作成、サービス事業者との連絡調整等を行うものであり、高齢者自身によるサービスの選択、サービスの総合的・効率的な提供等、介護保険の基本理念を実現する上で、重要な役割を果たしている」、2)「高齢化の進展に伴い、居宅介護支援の請求事業所数、利用者数は年々増加しているほか、就業者等が知っている、あるいは、相談したことがある介護の相談先としてケアマネジャーと回答する者が最も多くなるなど、ケアマネジメントが国民の間に普及・浸透していることがうかがえる」、3)「ケアマネジャーについては、介護給付サービスの受給調整・給付管理にとどまらず、かかりつけ医をはじめとする医療と介護の連携や、地域におけるインフォーマルサービス等の多様な資源の活用等の観点において、中心的な役割を果たすことが期待されている」と一定の評価をしている。

一方で4)「公正中立なケアマネジメントの確保や、ケアマネジメントの質の向上に向け、2018年度介護報酬改定で、利用者に対して、複数事業者の紹介を求めることが可能であることや、事業所をケアプランに位置付けた理由を求めることが可能である旨説明することを義務付けたほか、経過措置期間を設けた上で、主任ケアマネジャーであることを居宅介護支援事業所の管理者の要件した」ことと、5)「介護支援専門員業務は、利用者宅への訪問(アセスメント・モニタリング)や、ケアプランや給付管理等に伴う書類の作成、居宅サービス事業者等を招集するサービス担当者会議の開催等の業務に加えて、医療機関や相談支援専門員等の他機関との連携が必要となり、負担となっている」との調査結果も強調した。そのうえで、6)「また、近年、介護職員の処遇改善が進んだこともあり、介護支援専門員の処遇が相対的に低くなっている」との指摘もある」との現状を問題視したのだ。

これらの現状と課題から、部会ではケアマネジメントの論点として以下の4項目を提示している。

①医療をはじめ、多分野の専門職の知見に基づくケアマネジメントが行われることが重要であるが、地域ケア会議の積極的な活用や、介護報酬上の対応も含め、どのような方法が考えられるか。

②高齢者が地域とのつながりを保ちながら生活を継続していくためには、医療や介護に加え、インフォーマルサービスも含めた多様な生活支援が包括的に提供されることが重要であるが、インフォーマルサービスも盛り込まれたケアプランの作成を推進していくためには、どのような方法が考えられるか。

③公正中立なケアマネジメントの確保や、ケアマネジメントの質の向上に向けて様々な取り組みを進めているが、更なる推進策として、どのような取り組みが考えられるか。

④適切なケアマネジメントを実現するため、これを担うケアマネジャーについて、処遇改善を図ることで質の高いケアマネジャーを安定的に確保するとともに、事務負担軽減等、ケアマネジャーが力を発揮できる環境の整備を図ることが必要と考えるが、具体的にどのような方法が考えられるか。

結論は今後の議論の結果待ちとなり、介護報酬での評価は介護給付費分科会へ引き継がれる。業務負担軽減や環境の整備などいかなる具体策が提示されるのか、とりわけケアマネジャーの処遇改善に繋がることを期待したい。

(顧問 宮坂佳紀)


試験について

昨今の災害に関するニュースはご存じのとおりかと思いますが、今回介護支援専門員実務研修受講試験もその影響を受けて、東京や神奈川、福島、宮城など1都12県がやむを得ず中止しました。この日の為に日々努力をしてこられた受験生を思うと気の毒に思うと同時に、実施側の対応にも直前までの判断に際し、ご苦労された上かと拝察しています。京都府でも予定通り実施はされましたが、今回は試験問題の漏洩防止のため、問題用紙も回収する等特別の対応がなされました。今年度は非常事態も見据えた大変な試験でしたが、そんな中でも京都でたくさんの合格者のもと、実務研修が行われることを願ってやみません。

受験と言えば、私は語呂合わせで覚えるのが得意で、今でも受験される方に得意げに伝えていることがあります。それは、生活保護の8つの扶助です。

医療・介護・葬祭・生活・住宅・生業・教育・出産という、現物、現金扶助の8種類。これの頭文字をとると、「いかそうせいじせいきょうさん」。

そうです「イカ・ソーセージは生協産!」最後がちがうぞ、とは言わないでください。その辺の曖昧さも語呂合わせのいいところです。

どうでしょう。試験対策だけではなく、身近な制度や難しい法律などでも、結局は覚えて使えることが大事だと思いませんか。今期久々に広報委員に帰ってまいりました。どうぞよろしくお願いいたします。

(常任理事 柴田崇晴)

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