103号 2017/11

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┏┏┏ 公益社団法人 京都府介護支援専門員会
┏┏ ★ メールマガジン ★
┏ 2017/11 ★ 通算103号 ★
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□■2017年11月24日配信 通算103号□■
CONTENTS――――――――――――――――――――――――――
_/_/_/シリーズ 30年同時改定をうらなう(11)
_/_/_/“支援”という名の行為に潜む落とし穴
_/_/_/研修のご案内
_/_/_/ひとこと
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■シリーズ 30年同時改定をうらなう(11)■
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平成30年の医療・介護同時改定に向けての動きが活発になってきま
した。最新の情報のなかから、ケアマネジメントに関わりが深いも
のを厳選し、メディカル・テン代表の宮坂佳紀氏に連載していただ
きます。

◆◆訪問介護と通所介護の適正化の行方はどうなる、通所介護は1
時間ごとの評価へ転換◆◆

11月に開催された社会保障審議会介護保険給付費分科会(分科会)
では訪問、通所系サービスの課題と論点がより一層具体的に提示さ
れている。
福祉用具貸与については「全国平均貸与価格の公表や貸与価格の
上限設定について、適切に制度を運営していく観点から、施行後の
実態も踏まえつつ、必要な対応を行ってはどうか」との論点と対応
が提示された。

◆(参考1)福祉用具貸与の報酬・基準について(案)◆
貸与価格の上限設定等について
(論点)
○ 全国平均貸与価格の公表や貸与価格の上限設定について、適切に
制度を運営していく観点から、施行後の実態も踏まえつつ、必要な
対応を行ってはどうか。

(対応案)
○ 現行の貸与商品については、平成30年10月から全国平均貸与価
格の公表や貸与価格の上限設定が適用されるが、平成31年度以降、
新商品についても、3ヶ月に1度の頻度で同様の取扱いを行うこと
としてはどうか。
○ 公表された全国平均貸与価格や設定された貸与価格の上限につ
いては、平成31年度以降も、概ね1年に1度の頻度で見直しを行う
こととしてはどうか。
○ 全国平均貸与価格の公表や貸与価格の上限設定を行うに当たっ
ては、一定以上の貸与件数がある商品について適用することとして
はどうか。
(例えば、月平均100件以上の貸与件数がある商品について適用
することとしてはどうか。)

その他福祉用具貸与の運営基準において以下の項目を規定すべき
としている。

○ 利用者が適切な福祉用具を選択する観点から、福祉用具専門相談
員に対し、
・貸与しようとする商品の特徴や貸与価格に加え、当該商品の全国
平均貸与価格を利用者に説明すること
・機能や価格帯の異なる複数の商品を利用者に提示すること
・利用者に交付する福祉用具貸与計画書をケアマネジャーにも交付
すること
について規定を設けてはどうか。

訪問介護についても複数の論点と対応案が提示されている。
厚労省は分科会において、自立支援・重度化防止に向け、訪問介
護の「生活機能向上連携加算」について、リハビリテーションを実
施している医療提供施設の医師や理学療法士などが生活機能アセス
メントを行うことも認めるとする見直しを提案。定期巡回・随時対
応型訪問介護看護と小規模多機能型居宅介護に、同様の生活機能向
上連携加算を創設することも併せて示した。見直し案に対しては、
おおむね賛意を示す意見が多かったと報じられている。
同加算は、訪問リハビリ・通所リハビリ事業所の理学療法士など
の専門職が利用者宅を訪問して身体状況などを評価すること、サー
ビス提供責任者が生活機能向上を目的とした訪問介護計画を作成す
ることなどを要件としている。しかし、専門職が利用者宅を訪問す
る機会がないことなどにより取得率が低いという課題もあるとした。
また、同加算について厚労省は、医師らが直接訪問することが難し
い場合には、ICTを活用して動画などで利用者の状態を把握し、定
期的に助言することなどへの評価を設けることも提案した。
さらに身体介護と生活援助の報酬についても「メリハリ」をつけ
るべきとしている。とりわけ次期改定では介護福祉士以外の生活援
助サービスを実施する新研修受講者については、介護福祉士が実施
する生活援助サービスと同様の報酬とすること。すなわち、生活援
助サービスの引下げを示唆している。

◆(参考2)訪問介護サービスの対応案◆
①生活機能向上連携加算の見直し
○ 生活機能向上連携加算について、自立支援・重度化防止に資する
訪問介護を推進するため、現行の訪問リハビリテーション・通所リ
ハビリテーションの理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が利用者
宅を訪問して行う場合に加えて、リハビリテーションを実施してい
る医療提供施設の理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・医師が訪
問して行う場合についても評価するとともに、リハビリ専門職との
連携を促進するため、これらの評価を充実してはどうか。

○ 理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・医師が利用者宅を訪問す
ることが難しい場合においても、自立支援・重度化防止に資する訪
問介護を進めるため、
・訪問リハビリテーション・通所リハビリテーション・医療提供施
設の理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・医師からの助言(アセ
スメント・カンファレンス)を受けることができる体制を構築し、
助言を受けた上で、サービス提供責任者が生活機能の向上を目的と
した訪問介護計画を作成(変更)すること
・当該理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・医師は、通所リハビ
リ等のサービス提供の場において、又はICTを活用した動画等に
より、利用者の状態を把握した上で、助言を行うこと。
を定期的に行うことを評価してはどうか。

②「自立生活支援のための見守り的援助」の明確化
○ 自立支援の機能を高める観点から、身体介護と生活援助の内容を
規定している通知(老計第10号(訪問介護におけるサービス行為ご
との区分等について))について、身体介護として行われる「自立生
活支援のための見守り的援助」を明確化してはどうか。

③身体介護と生活援助の報酬
○ 自立支援・重度化防止に資する訪問介護を推進・評価する観点か
ら、訪問介護事業所の経営実態を踏まえた上で、身体介護に重点を
置くなど、身体介護・生活援助の報酬にメリハリをつけてはどうか。

④生活援助中心型の担い手の拡大(基準の緩和)
○ 訪問介護事業所における更なる人材確保の必要性を踏まえ、介護
福祉士等は身体介護を中心に担うこととし、生活援助中心型につい
ては、人材の裾野を広げて担い手を確保しつつ、質を確保するため、
現在の訪問介護員の要件である130時間以上の研修は求めないが、
生活援助中心型のサービスに必要な知識等に対応した研修を修了し
た者が担うこととしてはどうか。

○ このため、新たに生活援助中心型のサービスに従事する者に必要
な知識等に対応した研修課程を創設することとしてはどうか。その
際、研修のカリキュラムについては、初任者研修のカリキュラムも
参考に、観察の視点や認知症高齢者に関する知識の習得を重点とし
てはどうか。

○ また、訪問介護事業者ごとに訪問介護員等を常勤換算方法で2.5
以上置くこととされているが、上記の新しい研修修了者もこれに含
めることとしてはどうか。

○ この場合、生活援助中心型サービスは介護福祉士等が提供する場
合と新研修修了者が提供する場合とが生じるが、両者の報酬は同様
としてはどうか。

○ なお、この場合、訪問介護事業所には多様な人材が入ることと
るが、引き続き、利用者の状態等に応じて、身体介護、生活援助を
総合的に提供していくことが必要ではないか。

また分科会では厚労省から、訪問介護などにおける同一建物減算
については、「移動コストがかからない」点に着目し、対象を「有料
老人ホーム等」以外にも拡大することや減算幅を見直すことなどを
提案。反対意見はあがらなかったとも報じられている。

◆(参考3)同一建物等居住者にサービス提供する場合の報酬◆
(論点)
○ 訪問介護のサービス提供については、以下に該当する場合に10%
減算とされているが、建物の範囲等を見直してはどうか。

①事業所と同一敷地内又は隣接する敷地内に所在する建物(養護老
人ホーム、軽費老人ホーム、有料老人ホーム、サービス付き高齢者
向け住宅(以下「有料老人ホーム等」という。)に限る)に居住する

②上記以外の範囲に所在する建物(有料老人ホーム等に限る)に居
住する者(当該建物に居住する利用者の人数が1月あたり20人以上
の場合)

(対応案)
○ ①について、有料老人ホーム等以外の建物も対象としてはどうか。

○ ②についても、有料老人ホーム等以外の建物も対象としてはどう
か。なお、その際、当該建物に居住する利用者の人数については、
有料老人ホーム等は1月あたり「10人以上」、その他の建物は1月
当たり「20人以上」としてはどうか。

○ また①について、事業所と同一敷地内又は隣接する敷地内に所在
する建物のうち、当該建物に居住する利用者の人数が1月あたり10
人以上(有料老人ホーム等の場合)又は20人以上(その他の建物の
場合)の場合は、減算幅を見直してはどうか。
※ 訪問入浴介護、訪問看護、訪問リハビリテーション、夜間対応
型訪問介護も同様としてはどうか。

同一建物利用者減算方式については医師などの実施する居宅療養
管理指導費にも導入される。厚労省は分科会で、医療保険の在宅時
医学総合管理料などの取り扱いに併せて、同一建物1人、2~9人、
10人以上の3段階の減算方法が提案された。本件は医師、歯科医師
の他管理栄養士や薬剤師、歯科衛生士の居宅療養管理指導費も同じ
取り扱いとなる。

通所系サービスについても通所介護と通所リハビリテーションの
メリハリ改定が実施されそうだ。厚労省は、リハビリにおいて医師
の指示が2項目以上の場合にADL向上が大きいことから、通所リハ
ビリのリハマネ加算1で、医師が「目的」に加えて、「留意事項」「中
止基準」「負荷量」のいずれか1項目を指示することなどを要件に追
加する案を提示。また、リハビリの質の評価データ収集事業に参加
してデータを提出し、フィードバックを受けた事業所も評価すると
した。医療保険と介護保険のリハビリ計画書の共通項目について互
換性を持った様式の設定なども示した。これらは訪問リハビリでも
同様に提案した。
このほか通所リハビリでは、リハビリ専門職の配置が手厚く、リ
ハビリマネジメントに基づいた長時間サービスを提供していること
への評価などを提案。さらに、医療と介護の連携や整合性確保の観
点から、医療保険と介護保険のリハビリを同一スペースで実施する
場合の面積・人員・器具の共用に関する要件緩和の考え方を示した。
通所リハビリテーションにおける3時間以上のサービス提供に係
る基本報酬等の見直し等についても論点として提示されている。

◆(参考4)通所リハビリテーションにおける3時間以上のサービ
ス提供に係る基本報酬等の見直し等◆
(論点)
○ 通所リハビリテーションと通所介護の役割分担と機能強化に関
する議論や、通所介護の見直しを踏まえ同様の見直しを行ってはど
うか。

○ また、リハビリテーション専門職について、基準よりも手厚い体
制を構築し、リハビリテーションマネジメントに基づいた長時間の
サービスを提供している場合を評価してはどうか。

(対応案)
○ 3時間以上の通所リハビリテーションを提供した場合の基本報酬
について、同じ時間、同等規模の事業所で通所介護を提供した場合
の基本報酬との均衡を考慮しつつ、見直してはどうか。

○ リハビリテーション専門職の配置が、人員に関する基準よりも手
厚い体制を構築し、リハビリテーションマネジメントに基づいた長
時間のサービスを提供している場合を評価してはどうか。

対応案を見る限り、3時間~6時間の報酬を引下げ、6時間以上の
サービス提供時間を確保し、理学療法士などを複数配置している場
合の報酬を引き上げるという方策が想定できよう。

通所介護の適正化では「基本報酬のサービス提供時間区分の見直
し」として「サービス提供実態を適切に評価する観点から、時間区
分を1時間ごとに見直してはどうか」との対応案が提示された。事
業所の実際のサービス提供時間を見ると、3時間以上5時間未満は
「3時間以上3時間半未満」にピークがあり、5時間以上7時間未満
は「6時間以上6時間半未満」に、7時間以上9時間未満は「7時間
以上7時間半未満」にピークがある。例えば現行の「7~9時間」を
「7~8時間」を切り下げ、「8~9時間」を据え置きまたはごくわず
か引上げことになる。本件については認知症対応型通所介護も同様
の論点が提示されている。
加えて通所介護の基本報酬については介護事業経営実態調査結果
を踏まえ、大規模型を引き下げるという対応案もある。

◆(参考5)通所介護の基本報酬の見直しについて◆
(論点)
○ 通所介護の基本報酬は、事業所規模(地域密着型、通常規模型、
大規模型(Ⅰ)・(Ⅱ))に応じた設定としており、サービス提供1人
当たりの管理的経費を考慮し、大規模型は報酬単価が低く設定され
ている(通常規模型に比して、大規模型(Ⅰ)は約2%、大規模型
(Ⅱ)は約4%)。

○ 直近の通所介護の経営状況について、規模別に比較すると、規模
が大きくなるほど収支差率も大きくなっている。

○ また、直近の管理的経費の実績を見ると、大規模型におけるサー
ビス提供1人当たりのコストは、通常規模型と比較して、大規模型
(Ⅰ)は約11%、大規模型(Ⅱ)は約12%低い結果となっている。

○ これらの実態を踏まえて、基本報酬についてどう考えるか。

(対応案)
○ 基本報酬について、介護事業経営実態調査の結果を踏まえた上で、
規模ごとにメリハリをつけて見直しを行ってはどうか。

その他通所介護の評価としては「外部の通所リハ事業所等のリハ
ビリ専門職との連携による機能訓練の推進(生活機能向上連携加算
の新設)」があげられる。同加算の新設は訪問介護、小規模多機能居
宅介護、認知症対応型通所介護などと同様の取り扱い案である。

訪問リハビリについては、事業所の人員基準に「専任の常勤医師」
を明記するとした。事業所である病院や診療所などの常勤医師との
兼務は可能とする。他方、訪問リハビリ事業所である医療機関で、
リハビリ計画を作成する際の診療をした場合は、診療報酬との二重
評価とならないよう見直すとした。いわばメリハリ改定となる。

小規模多機能居宅介護ではこれまで課題として取り上げられてき
た「外部ケアマネジャーの活用」と「登録者以外の訪問介護サービ
スの実施」については見送られた。なお、現在は、訪問看護、訪問
リハビリテーション、居宅療養管理指導及び福祉用具貸与に限って
小規模多機能型居宅介護との併用が認められているが、通所リハビ
リテーションについても、1-2時間・2-3時間の短時間で行うもの
に限定して、併用を認めることにしてはどうか。ただし通いサービ
スの重複がないように、通いサービスを利用しない日における利用
に限定して併用を認めてはどうかとの提案もあった。

訪問看護では、在宅における医療ニーズの重度化に対応するため、
看護体制強化加算について「ターミナルケア加算」の算定者数が多
い場合の新たな区分設定など、対応強化を推進する方向性を示した。
複数名訪問加算については、医療保険と同様に看護補助者が同行し
役割分担した場合の区分創設を提案した。一方で予防の訪問看護の
引下げについても厚労省から論点が提示されている。

看護体制強化加算について、月の変動による影響を抑える観点か
ら、現行3か月である緊急時訪問看護加算等の算定者割合の算出期
間を見直すとともに、ターミナル体制の充実を図る観点から、ター
ミナルケア加算の算定者数が多い場合について新たな区分を設ける
等の見直しを提案。これは看護体制強化加算の算定の緩和策となり
プラス改定につながる。

一方訪問看護ステーションにおける理学療法士等による訪問の見
直し、いわゆる理学療法士などの単独の訪問については適正化すべ
きという論点もある。

◆(参考6)訪問看護ステーションにおける理学療法士等による訪
問の見直しについて◆
(論点)
○ 訪問看護ステーションからの理学療法士、作業療法士又は言語聴
覚士(以下、理学療法士等という。)による訪問看護は、その訪問が
看護業務の一環としてのリハビリテーションを中心としたものであ
る場合に、看護職員の代わりに訪問させるという位置づけのもので
あるが、看護職員と理学療法士等の連携が十分でない場合があるこ
とから、連携が確保できる仕組みを導入するとともに、連携に係る
評価について見直しを行ってはどうか。

(対応案)
○ 理学療法士等が訪問看護を提供している利用者については、利用
者の状況や実施した看護(看護業務の一環としてのリハビリテーシ
ョンを含む)の情報を看護職員と理学療法士等が共有するとともに、
訪問看護計画書及び訪問看護報告書について、看護職員と理学療
法士等が連携し作成することとしてはどうか。

○ 訪問看護計画書及び訪問看護報告書の作成にあたり、訪問看護サ
ービスの利用開始時や利用者の状態の変化等に合わせた定期的な看
護職員による訪問により、利用者の状態について適切に評価を行う
とともに、理学療法士等による訪問看護はその訪問が看護業務の一
環としてのリハビリテーションを中心としたものである場合に、看
護職員の代わりにさせる訪問であること等を利用者等に説明し、同
意を得ることとしてはどうか。

○ 上記の仕組みを導入することに合わせて評価の見直しを行って
はどうか。

さらに要支援と要介護利用者に対する訪問看護サービスは、(1)
訪問看護の内容について、要支援に比べ要介護のほうが「家族等の
介護指導・支援」「身体の清潔保持の管理・援助」「排泄の援助」「認
知症・精神障害に対するケア」等の実施割合が高くなっている。(2)
医療処置にかかる看護内容について、要支援に比べ要介護のほうが
「浣腸・摘便」「じょく瘡の予防/処置」「膀胱留置カテーテルの交
換・管理」等の実施割合が高くなっている。との現状から「要支援
者と要介護者に対する訪問看護については、同一の評価となってい
るが、サービスの提供内容等を踏まえ、基本サービス費に一定の差
を設けてはどうか」との対応案が提示。要支援の報酬引下げが想定
できる。

関連して11月15日に開催された中医協総会では、診療報酬の訪
問看護が俎上にあげられた。同時改定を見据えて医療保険と介護保
険、それぞれで提供される訪問看護の給付を整理すべきとの意見が
あり、そのすみ分けが議論となっている。以下特記すべき論点案を
掲載する。

◆(参考7)利用者の様々な状況に対応する訪問看護(訪問看護の
提供体制)論点案◆
○ 利用者からのニーズや訪問看護の提供状況を考慮し、訪問看護ス
テーションの24時間対応の評価について、24時間対応体制に一本
化し、見直してはどうか。

○ 複数名訪問看護加算においては、看護補助者との同行訪問に算定
回数の制限がないことから、算定回数の設定について検討してはど
うか。

○ 利用者の安全のために、利用者の身体的理由をもって複数名訪問
を実施した場合にも加算の算定を行えるよう、複数名訪問看護加算
の要件を見直してはどうか。

○ 1人の利用者に対し、複数の訪問看護ステーションが指定訪問看
護を実施する場合の訪問看護ステーション間の相互の連携を推進す
るために、連携の具体を明示してはどうか。

○ 複数の実施主体から訪問看護を受ける利用者について、訪問看護
ステーションと医療機関による訪問看護の提供において算定できる
加算について適正に評価してはどうか。

○ 専門の研修を受けた看護師による同行訪問について、利用者の生
活の質に直結する排泄トラブルを早期に改善するために、訪問の対
象について見直してはどうか。

○ 訪問看護ステーションからの理学療法士等による訪問看護は、看
護職員と理学療法士等の協働が十分でない場合があることから、協
働して訪問看護の提供がされるよう、理学療法士等のみが訪問して
いる利用者においても、訪問看護の計画や評価に看護職員が関与す
るなど、看護職員の参画を必要としてはどうか。

○ 複数の主治医がいる場合の訪問看護指示書の取扱いについてど
う考えるか。

◆(参考8)訪問看護ステーションと関係機関との連携の論点◆
〇訪問看護の利用者が療養の場を変更する際、新しい療養の場で利
用者の特性に合わせた療養支援を継続的に受けることができる等、
円滑な移行を進めていくために、訪問看護ステーションから病院等
への情報提供(現在は評価なし)についてどう考えるか。

○ 退院時共同指導加算等の訪問看護ステーションと医療機関との
連携に関する加算において、医療機関等と特別の関係にある場合の
算定(現時点では算定不可)について見直してはどうか。

加えて診療報酬の訪問診療について議論した中医協総会で厚労省
は、末期の悪性腫瘍の在宅患者に対する在宅時医学総合管理料等(医
療機関が算定する在宅の報酬)で「医療機関とケアマネジャーとの
間の情報共有・連携等」を算定要件とすることを提案した。総会で
強い反対意見はなかったが、ケアマネジャーが医療の必要性を十分
理解することを求める意見もあったという。

2018年度診療報酬・介護報酬同時改定では「リハビリテーション、
看取り、訪問看護、医療と介護の連携」について、「評価と適正化」
が実施されることになる。

宮坂 佳紀(メディカル・テン代表/公益社団法人京都府介護支援専
門員会顧問)

■“支援”という名の行為に潜む落とし穴■
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いまから7~8年ほど前になるが、たまたま見たテレビにミスターチ
ルドレンの桜井和寿さんが映っていた。ミスチルがものすごく好
き!というわけではなく、パーソナリティーをつとめていた佐野元
春さんの大ファン!ということでもなかったが、なぜか印象に残っ
た言葉があった。「好きな映画は?」と聞く佐野元春さんに「きみ
に読む物語」と答える桜井和寿さん。映画のワンシーンが映像とし
て流れたとき、なんだか“この作品をもっと知りたい”と思ったそ
うである。書店に行き、家に帰って読み進めるうちに単なるラブス
トーリーではないことに気づく。とても大切なメッセージが書かれ
ていて、とくに、私たちのような仕事をしている者にとってはとく
に。

『きみに読む物語(ニコラス・スパークス(著)/雨沢泰(訳)・
新潮社)』には次のような一節がある。
「たしかに彼女の言うとおり、私は答えを避けている。
この日のように妻が記憶だけを失くしているように思えるとき
わざと答えをぼかしているのは、
この数年間何度もうっかり口をすべらせて
不用意に彼女を傷つけてきたからだ」

「最初のころ、妻も私もつらい日々を送った。
彼女の人生に登場した人物、出来事や物、
場所などを答える百科事典になったわたしは
感情のない物体になっていた。
自分にわからない、答えられないような事柄や
事情があると、実際やりがいを感じるほどだった。
(省略)
わたしが学んだことは、子どもにとっては当たり前のことだった。
ようするに人生は小さな一日のつみかさねであって、
一日ごとに一回終わるものなのだ。
新しい日がくれば、花々や詩を美しさと愛で、
動物に話しかけて使いきればいい。
夢を見て、夕焼けや、さわやかなそよ風とすごしても、
それ以上の人生はないかもしれない。
しかし何よりも、
たまにやってくる晴れやかな日に、
古い川のそばにあるベンチで、
妻の膝に手を置きながら
恋をするよりすばらしい人生があるだろうか」

私たちが相談支援やケアマネジメントの場面で“利用者さん”と呼
んで向き合う人たちのなかには、覚えておきたいことや覚えておき
たかったはずのことを覚えられなくなってしまった人たちがおられ
る。私たちは、彼・彼女らのその不自由を知るとき、「この人にと
って私たちのできるお手伝いとは」と直線的に考えがちだが、その
“支援”や“ケア”という名の行為に落とし穴が潜んでいることが
あるのかもしれない、そんなことを『きみに読む物語』からあらた
めて教わった想いがした。

忘れてしまったことをその日そのときの状況を考えることなく、ポ
ンと教えることがケアではない。

まずはその時間を共有すること。その方に寄り添い、その方の言葉
を聴き、その方のしぐさから“この次にした方がよさそうな”関わ
りの道筋を少しずつカタチにしていく。

ケアとは、マニュアル化しようと思えばできないこともないけれど、
その瞬間にしか成り立たないこともあるような関わりであり、その
人と“わたし”の間でしか成り立たないこともあるような触れ合い、
でもある。

良い本に思わぬかたちでめぐり会えたことに感謝したい。

(理事 北野 太朗)

■研修のご案内■
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◎【企画研修】《会員限定》ケアマネジャーにとっての適切な記録を
考える~特に居宅介護支援経過を中心に~
<北部>平成29年11月27日(月)18:00 ~ 20:00
中丹勤労者福祉会館 4階大会議室(福知山市)
<南部>平成29年11月30日(木)18:00 ~ 20:00
ハートピア京都3階大会議室(京都市中京区)
講 師:井上 基 氏(医療法人三幸会生活サポートセンター部長/公
益社団法人京都府介護支援専門員会会長)
★「居宅介護支援経過」を中心に、運営基準やさまざまなテキスト
から適切な「記録」がどのようなものなのかを学びます。詳細はこ
ちら↓↓↓
http://www.kyotocm.jp/wordpress/wp-content/uploads/2017/10/kikaku22_2911271130.pdf

◎【企画研修】《会員限定》ケアマネジャーのための高齢者虐待への
対応と家族支援
日 時:平成29年12月18日(月)18:30 ~ 20:30
場 所:ハートピア京都 3階大会議室(京都市中京区清水町375)
講 師:井上 基 氏(医療法人三幸会生活サポートセンター部長/公
益社団法人京都府介護支援専門員会会長)
★「ケアマネジメントプロセス」に沿った高齢者虐待への対応、
虐待の当事者となりえる家族等への支援についても学びます。詳細
はこちら↓↓↓
http://www.kyotocm.jp/wordpress/wp-content/uploads/2017/10/kikaku23_291218.pdf

◎一般社団法人日本介護支援専門員協会第17回近畿ブロック研究大
会in滋賀
大会日時:平成30年3月17日(土)・18日(日)
会場:滋賀県立文化産業交流会館米原公民館
テーマ:暮らし・人・地域をつなぐケアマネジメント~多職種連携
の視点から介護支援専門員の役割を考える~
※申込書ダウンロード及び詳細については、ケアマネ・ポート55号
に同封しております大会要項をご参照ください。(WEBからもお申し
込み可能です)
大会ホームページ↓↓↓
https://conv.toptour.co.jp/shop/evt/shiga-caremanet2018/

■ひとこと■
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暑い暑いと言っていたのがつい先日のように感じますが、紅葉も終
わりに近づき間もなく12月がやってきます。ケアマネジャーの事業
所にはサービス提供事業所から年末年始の休業日の案内が届いてい
ます。年賀状の準備で忙しい事業所も多いのではないでしょうか。
とあるデータでは交通事故の発生件数、死亡者数共に12月が一番多
い結果となっており、さらに金曜日から日曜日にかけての発生数が
平日に比べると飛びぬけて多いとのことです。
どことなく年末年始に向けて気持ちがフワフワしてしまうのは、休
日前の仕事終わりに感じる感覚と似ているかもしれません。担当し
ているご利用者はもとより私たちケアマネジャーも体調不良や思わ
ぬ事故には気を付けて、残り1ケ月を乗り切りましょう。

(広報委員長 中嶋 優)

▼△▼△▼△▼△▼△▼・発行人・▼△▼△▼△▼△▼△▼
公益社団法人 京都府介護支援専門員会・広報委員会
〒604-0874
京都市中京区竹屋町通烏丸東入る清水町375
京都府立総合社会福祉会館(ハートピア京都)7階
TEL :075-254-3970
FAX :075-254-3971
MAIL:info@kyotocm.jp URL:http://www.kyotocm.jp/
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