096号 2017/07

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┏ 2017/07 ★ 通算096号 ★
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□■2017年7月28日配信 通算096号□■
CONTENTS――――――――――――――――――――――――――
_/_/_/シリーズ 30年同時改定をうらなう(7)
_/_/_/無茶をしない
_/_/_/研修のご案内
_/_/_/ひとこと
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■シリーズ 30年同時改定をうらなう(7)■
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平成30年の医療・介護同時改定に向けての動きが活発になってきま
した。最新の情報のなかから、ケアマネジメントに関わりが深いも
のを厳選し、メディカル・テン代表の宮坂佳紀氏に連載していただ
きます。

◆◆通所介護と通所リハビリテーションのメリハリ改定、居宅介護
支援の論点も提示◆◆

社会保障審議会・介護給付費分科会(分科会)では、2018年度介護
報酬改定に向けて個別テーマについての議論が活発化してきた。厚
労省は、6月21日の分科会で、通所リハビリテーションの論点とし
て、1)通所介護との役割分担と機能強化、2)退院後など必要に応
じて早期に通所リハビリを導入するための方策、3)通所リハビリへ
の医師の関与の促進、4)医療と介護の連携のため計画書などの在り
方、計画書のデータの収集と分析、結果のフィードバックシステム
―などを挙げた。また通所介護については以下の論点が提示されて
いる。

◆(参考1)通所介護の論点◆
○ 通所介護について、利用者の必要な日常生活上の世話及び機能訓
練を行うことにより、利用者の社会的孤立感の解消及び心身の機能
の維持並びに利用者の家族の身体的及び精神的負担の軽減を図ると
いう機能を踏まえ、サービスの提供実態等の現状、改革工程表、仕
事と介護の両立、通所リハビリテーションとの役割分担等の観点も
含め、そのサービスのあり方をどのように考えるか。

○ 特に、利用者の心身の機能の維持が求められるサービスであるこ
とを踏まえ、通所介護における機能訓練のあり方についてどのよう
に考えるか。

そのうえで厚労省は通所介護と通所リハビリテーションの格差とし
て(1)「通所介護と同様に、通所リハビリテーションでも、最もサ
ービス提供時間が長い「6時間以上8時間未満」の基本サービス費
を算定している割合が高いなど、通所介護と通所リハビリテーショ
ンとの違いがわかりにくくなっているとの指摘がある。この点に関
し、昨年末に公表された社会保障審議会介護保険部会の意見書にも、
「2018年度介護報酬改定にあわせて、通所リハビリテーションと通
所介護の役割分担と機能強化について検討することが適当とされ、
例えば時間区分を通所介護と通所リハビリテーションで分けるなど、
特徴づけてはどうか」との意見があった。

(2)また、当該意見において、「通所リハビリテーションと通所介
護を比較した場合、通所リハビリテーションの方が、リハビリテー
ション専門職が多く配置され、日常生活自立度や要介護度に改善が
みられ、その差はリハビリテーション専門職の配置の差とも考えら
れる。」とされたが、調査研究によると、通所介護事業所間で見ても、
リハビリテーション専門職の配置と個別機能訓練加算の算定の有無
によって、機能訓練の効果(日常生活自立度の変化)に差がみられ
た。

以上のことから想定できることは、通所介護・リハビリテーション
では「長時間預かりサービス」に特化した事業所は適正化(マイナ
ス改定)、通所介護において機能訓練加算を算定していない事業所も、
減算等の取り扱いとすること。及び通所介護の機能訓練加算につい
ては、看護職員の配置と理学療法士などの配置による効果を考慮し
て同加算に格差を付けること。一方通所リハビリテーションは、高
齢者の医療保険からの外来リハビリテーションや退院直後の患者の
早期受入れを評価することと、短時間リハビリテーションサービス
提供を強化した場合の評価が考えられる。
7月5日の分科会では、訪問系サービスの論点が厚労省より提示さ
れた。訪問介護については生活援助中心の訪問介護について、以下
のとおり報酬削減を視野にいれた論点が提示されている。

◆(参考2)訪問介護の論点◆
○ 生活援助を中心に訪問介護を行う場合の人員基準及び報酬につ
いて、要介護者に対する生活援助の意義を踏まえ、どう考えるか。

○「生活援助」のみの利用状況については月31回以上の利用者が一
定程度いる中で、身体介護も含めた訪問介護の報酬のあり方につい
て、どう考えるか。

○ 集合住宅におけるサービス提供の適正化について、どう考えるか。

○ 主として身体介護を行う者と生活援助を行う者の役割分担を進め
ていくことが重要との意見がある中で、サービス提供責任者の役割
や任用要件について、どう考えるか。

○ 身体介護における自立生活支援のための見守り的援助について、
どう考えるか。また、生活機能向上連携加算の取得状況を踏まえ、
リハビリテーション専門職の意見を踏まえた訪問介護の実施につい
て、どう考えるか。

論点についてサービス提供側委員から、生活援助中心型の訪問介護
のなかでも軽度者向けのサービスについては報酬の適正化の検討が
必要と指摘している。一方で適正化により軽度者の要介護度が重度
化しないような工夫も必要とした。保険者側委員からは利用回数の
1月の上限も考慮すべきという意見もでている。他の委員からは認
知症利用者の生活援助には高度な技術が必要との意見もでている。
このうち集合住宅におけるサービス提供の適正化の論点について委
員間では、不適切事例を是正すべきとの意見でおおむね一致してい
る。サービス提供側委員は、サービス付き高齢者向け住宅入居者の
ケアプランを、保険者が事前に確認できる仕組みにすべきと主張。
保険者側委員は同一建物減算の算定状況が急増している点を指摘し
「さらなる減算を検討すべき」とした。

この日の分科会では、厚労省は訪問看護に関する論点として、1)医
療ニーズが増大することを踏まえた緊急時や看取りへの対応など適
切な訪問看護の在り方、2)理学療法士などによる訪問看護について、
リハビリテーションの在り方や看護職員との連携の在り方、3)医療
ニーズへの対応や重度化予防の観点から居宅介護支援を含む他の介
護保険サービスとの連携の在り方―を挙げた。

訪問看護に関する論点として、1)医療ニーズが増大することを踏ま
えた緊急時や看取りへの対応など適切な訪問看護の在り方、2)理学
療法士などによる訪問看護について、リハビリテーションの在り方
や看護職員との連携の在り方、3)医療ニーズへの対応や重度化予防
の観点から居宅介護支援を含む他の介護保険サービスとの連携の在
り方を挙げた。

同日の分科会では居宅介護支援についての論点も提示されている。
分科会資料によると居宅介護支援については、請求事業所数・利用
者数ともに増加し、平成28年4月審査分では、請求事業所数は
39,471事業所、利用者数は約252万人となっている。介護予防支援
については、請求事業所数・利用者数ともに増加し、平成28年4月
審査分では、請求事業所数は4,704事業所、利用者数は約107万人
となっている。居宅介護支援事業所におけるケアマネジャーの従事
者数は増加傾向にあり、平成27年10月時点では約10万人となっ
ている。また、1事業所あたりのケアマネジャーの人数(常勤換算
数)も増加しており、平成28年11月時点で3.2人となっている。
論点は以下のとおりである。

○ 居宅介護支援事業所における人材育成の取組を促進する観点か
ら、居宅介護支援事業所の管理者のあり方についてどのように考え
るか。

○ 公正中立なケアマネジメントを確保する観点から、特定事業所集
中減算のあり方や利用者やその家族に対する説明・同意プロセス等
についてどう考えるか。

○ 退院後に円滑に必要な居宅サービスを受けられるようにするた
めに、入院時を含めた医療機関と居宅介護支援事業所との更なる連
携に向けた取組みについてどう考えるか。

○ 末期の悪性腫瘍の患者に係るケアマネジメントについてどう考
えるか。

7月19日に開催された社会保障審議会・介護給付費分科会では居宅
介護支援をテーマとし、医療機関と居宅介護支援事業所との連携強
化について議論した。
議論では、ほぼすべての委員が特定事業所集中減算の見直しの必
要性を指摘した。なかには「廃止」を求める意見もでている。また
居宅介護支援事業所の管理者には主任ケアマネジャーを当てるべき
とする意見もでた。一方管理者の資格には時期尚早の意見もある。
現行の入院時情報連携加算では入院から7日以内に情報提供した
場合に算定すると定めている。分科会でサービス提供側委員は、ケ
アマネジャーから医療機関に、入院後3日以内に情報提供すること
を義務付けるべきとの考えを示した。ただ他のサービス提供側委員
は、現状でも約6割が2日以内に情報提供をしているとのデータを
示し「現行要件のままでよい」と主張。一方で、別の委員は、医療
機関にとって有用な情報を早く、正確に提供することが重要だとし、
訪問看護の事業所などから「ダイレクトに情報提供することがあっ
てもいいのではないか」と提言した。
論点には具体的にはあがっていないが、居宅介護支援事業所にも
集合住宅へのサービス提供時の減算制度導入については検討が進め
られる可能性があるだろう。

宮坂 佳紀(メディカル・テン代表/公益社団法人京都府介護支援専
門員会顧問)

■無茶をしない■
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縁あって、大学生のフィールドワークを受け入れることになった。
フィールドワークとは、社会学や人類学から始まったリサーチの手
法である。テーマや対象地域を決めて訪問し、現地の関係者から聞
き取り等をすることで、本や講義では学べないことを研究・体験す
ることが目的で今回のテーマは「過疎地における地域医療」だった。
企画はテーマに沿ったキーワード選定から始まり、議論の末、「過疎
地」「お茶産業」「看取り」で構成することになった。
私の役割は地域の概要と普段のケアマネジャーとしての活動をお話
しするだけなのだが、社会学科の十代の学生が対象で、医療・介護
にはあまり接していない若い人にどのような話をするべきか、何を
伝えられるかを模索した。
人口動態や主産業などはデータとして容易に調べることが出来るの
だが、人々の暮らしや営みといった部分はなかなかまとまらない。
個人の生活ではなく、地域の暮らしぶりや営みを客観的に説明する
ことは容易ではない。しかし、悩みながらも色々なことが頭を交錯
する。この暮らしや営みが個人の生活が織りなした先にあるものな
のであれば、俯瞰的な視座で地域を捉えることは逆説的には個人を
知ることにつながるのではないか。地域の企業や産業が営みに影響
を及ぼしていたのであれば、それを知ることも重要ではないか。日
常行わないことをしたからか、普段、あまり考えないことや気づき
が多く、我々はどういった暮らしに接していたのか、改めて考えさ
せられる機会となった。
医師・起業家(カフェ)・私の3名の講義の後に「茶香服(ちゃかぶ
き)」を地域の日本茶インストラクターの方々に実施して頂いた。「茶
香服」は簡単に言えば利き酒をお茶に変えたようなもので、農閑期
の冬に行われ600年以上歴史があると言われている。実際はお茶の
産地を当てるのだが、今回は学生ということもあり玉露・煎茶・碾
茶・ほうじ茶・玄米茶を利き茶することとなった。私も一緒に参加
したのだが、のんびりと煎れたてのお茶を飲める機会を持てずにい
た自身の暮らしを反省せざるを得ない。
ふと、配布したお茶のパンフレットに目をやると、次のように書か
れていた。
「無茶したら、あかん。皆さんも聞いたことがある言葉ではないで
しょうか。お茶の一杯も飲む余裕がない状況で何かをはじめたり、
続けたりするのはきっと良くないことだということを、昔から私た
ちはよく知っている。だからこの言葉ができたのではないでしょう
か。忙しい毎日。無茶していませんか。まずは一服。お茶で一休み
しましょうよ。」(和束のいとなみ 発行:和束町)
暑い日が続きますが、みなさまもお茶を飲みお体を大切にお過ごし
ください。

(理事 村上 晶之)

■研修のご案内■
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◎【企画研修】≪会員/主任介護支援専門員限定≫スーパービジョ
ンの活用~根拠に基づく実習生の受け入れ指導~
日 時:平成29年9月27日(水)10:30~16:30
場 所:ハートピア京都 4階第4・5会議室(京都市中京区清水町375)
講 師:髙木 はるみ 氏(当会常任理事/社会福祉法人京都福祉サー
ビス協会本能事務所)
★平成28年度より介護支援専門員実務研修では受講者の見学実習が
開始されました。指導の平準化をはかるため、どのような視点・根
拠に基づいて指導を行うべきかを学びます。
http://www.kyotocm.jp/wordpress/wp-content/uploads/2017/07/kikaku14_290927.pdf

◎【研究大会】第6回京都府介護支援専門員研究大会「ケアマネジャ
ーの存在意義を問う~連携の要であるために~」
日 時:平成29年10月28日(土)10:30 ~16:30
場 所:メルパルク京都(京都市下京区)
申込締切:平成29年9月11日(月)
★鷲見よしみ氏(前日本介護支援専門員協会会長)による基調講演、
ケアマネジメントに必要な連携について研究発表をしていただく予
定です。研究発表者も同時に募集いたします。多数のみなさまのご
参加をお待ちしております。
詳細とお申し込みはこちら↓↓↓
http://www.kyotocm.jp/wordpress/wp-content/uploads/2017/06/h29ckca_taikai6.pdf

■ひとこと■
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京都の夏の風物詩である、祇園祭の山鉾巡行が行われ梅雨も明けて
本格的な夏の到来となりました。これからの時期の訪問は暑さや日
焼けとの戦いですが体調を崩さないように気を付けたいものです。
2005年に施行された個人情報保護法が2015年に改正され、今年5
月に全面施行されました。改正された内容には、本人の同意を得な
いで提供できる特例「オプトアウト」には、個人情報保護委員会へ
の届出が必須となることや、情報の提供方法、望まない場合の停止
方法などを、あらかじめすべて本人に示さなければいけないなどの
項目が追加されています。特に「人種」「信条」「病歴」などの「要
配慮個人情報」は、オプトアウトでは提供できなくなっており注意
が必要です。この暑い時だからこそ、涼しい屋内で個人情報保護法
について見直す時間を作ってみてはいかがでしょうか。

(広報委員長 中嶋 優)

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公益社団法人 京都府介護支援専門員会・広報委員会
〒604-0874
京都市中京区竹屋町通烏丸東入る清水町375
京都府立総合社会福祉会館(ハートピア京都)7階
TEL :075-254-3970
FAX :075-254-3971
MAIL:info@kyotocm.jp URL:http://www.kyotocm.jp/
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